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Sunday, March 29, 2020

厚労省 医薬品安定供給へ疾患別key drugをリスト化 フォーミュラリ視野 | ニュース - ミクスOnline

厚労省 医薬品安定供給へ疾患別key drugをリスト化 フォーミュラリ視野

公開日時 2020/03/30 04:52
厚生労働省は3月27日、「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」(座長:清田浩・日本化学療法学会理事長)の初会合を開いた。疾患領域ごとに、臨床的に重要な医薬品を“key drug”を選定し、代替薬も含めたリストを作成。欠品情報を含めた公開も視野に入れる。あわせて、すべての医薬品の安定確保を図る観点から、原薬の調達を含むリスクヘッジや、それを踏まえた薬価上の下支えなどについて検討を進める。今夏にも中間取りまとめを行う方針。原靖明委員(日本保険薬局協会流通適正効率化委員会委員)は、「日本国中を含めたフォーミュラリになるかもしれない。薬剤師は、体内動態など得意なので、そこで職能を発揮したい」と述べた。医療従事者、製薬企業、行政が一体となって、安定供給に向けたスキームを構築する。

抗菌薬・セファゾリンの供給不安が起き、医療現場では手術の延期を余儀なくされるなど、課題が表面化した。これを踏まえ、日本化学療法学会など4学会は2019年8月、抗菌薬の安定供給に向けた提言を公表。主要な抗菌薬は、原産地表示を製薬企業に義務付けるなどリスクヘッジを求めた一方、key drugについては安定供給に見合うよう、薬価上の評価を見直すよう求めた。あわせて、key drugについては、セファゾリンやペニシリン、セフトリアキソン、レボフロキサシンなど10品目を選定した。

これを受けて行われた、抗菌薬10品目を対象とした調査からは、原料製造、原薬製造、製剤化の各工程で複数のソースが確保されているものの、原料製造は中国に頼っているケースも多いことがわかっている。

この日の検討会でも、後発品の市場浸透が進み、低薬価市場が膨らむ一方で、原薬を供給できる企業が限定されるなかで原薬の高騰や、GMPへの対応などでコストがかさみ、不採算に陥っている事例があることが指摘された。実際、厚労省が提出した供給不安・欠品に陥った事例112件(18年度:53件、19年1月まで:58件)のうち、後発品が55%と半数を超え、1日薬価が100円以内のものが約4割を占める。

◎米FDA 80品目のリストを公開 欠品情報も

供給不安の兆候をいち早く補足し、早期対応につなげる施策も重要になる。米FDAでは、医療に必要な医薬品計80品目の医薬品リストを作成し、欠品などの情報を公開する。欠品が起きた場合、FDAがほかの製薬企業に対して増産を打診するほか、増産に対応した企業への査察を迅速化するなどの取り組みを行っている。坂巻弘之委員(神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーション研究科教授)は、「事前に予測できる場合は、いかに早く企業から情報を出してもらえるか」が重要との考えを示した。

医薬品の安定供給をめぐってはすでに、行政、製薬企業ともに複数の施策を講じている。薬価上では低薬価品について、基礎的医薬品や不採算品再算定、最低薬価など、薬価を下支えする仕組みがある。厚労省は、セファゾリン問題を受け、抗菌薬の製造工程の把握を行ったほか、原薬のダブルソース化をジェネリックメーカーに要請するなどの施策を講じてきた。一方で、製薬業界も、業界団体が作成したチェックリストを用いて自己点検を行ったほか、実際に供給不安に陥った際の調整スキームを策定するなどの取り組みが進められている。

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