アメリカの食肉加工品メーカーでは、ハンバーガーやミートボール、ソーセージに野菜を混ぜて食べやすくする取り組みを行っている。
アップルゲートは来月、食料品店で肉と野菜を材料とするハンバーガーとミートボールを売り出す。タイソン・フーズでは、牛肉とエンドウたんぱくでできたパティや混合ソーセージを販売している。パーデュー・ファームズでは鶏肉と野菜でできたナゲットを製造しているほか、カリフォルニア州のスタートアップ、ベターミートは牛ひき肉、豚肉、鶏肉を混ぜた製品を提供している。食欲が増してくる夏頃には、ラインナップがもっと増えているだろう。
各社とも、肉類に対する消費者の不安や健康・環境への影響に関する懸念の高まりに応えたいとしている。国連は昨年、世界の温室効果ガス排出の37%は農業や食品生産が要因とする報告を発表し、肉の消費抑制を呼びかけた。最近のハーバード大学による研究では、赤身の肉を食べすぎると早期死亡のリスクが高まるという結果が示された。
タイソン・フーズなどの企業では、エンドウたんぱくをベースとし、鶏肉を真似て作ったナゲット「レイズド・アンド・ルーティッド」など、純植物由来の製品を打ち出している。牛肉を真似て作った植物由来のハンバーガーを販売しているビヨンドミートやインポッシブルフーズなどのスタートアップと全面的に競合することになる。
だがタイソン・フーズの代替たんぱく担当副社長、デイビッド・アーヴィン氏によると、社内調査の結果、植物由来の肉を試してみたいとする消費者の割合が69%であったのに対し、実際に食べたことのある人は約17%に留まっているという。植物由来の肉に手が出ない一番の理由は味だ。この食材を試す入り口となるのは、馴染みのある肉の味がする混合バーガーである、と同氏は説明している。
非常勤の管理職を務めているワシントン州のコニー・ルファーヴ氏がベジタリアンになったのは、1985年にセブンスデー・アドベンチスト教会に参加したときだった。いまでは肉や魚をときおり食べているものの、健康のため、環境のために消費量を控えているという。調理がしやすく、ナトリウムが少ないという理由で、ターキーとマッシュルームを混ぜたハンバーガーが彼女のお気に入りだ。
アップルゲートのジョン・ジンゴ社長によると、ルファーヴ氏のような「肉を食べる良心的な人々」の存在を食肉加工会社は無視できないという。
「変化に対して恐怖心で対応するのではなく、基本的なニーズを観察することが大切だ。自らが作り出せる実用的な変化、際立った動きにつなげられそうな変化を消費者は求めている」と同副社長は述べている。
ホーメル・フーズ・コーポレーション傘下で未加工肉、オーガニックの肉を扱うブランドであるアップルゲートは、脂肪分が少ない72%のオーガニックビーフと、カリフラワー、レンズ豆、ホウレンソウ、カボチャなどの野菜1/3カップを混ぜた4オンス(約113グラム)の牛肉ハンバーガーを販売している。100%牛肉のハンバーガーと比べると味は落ちるが、野菜のおかげで風味は増す。このハンバーガーは200キロカロリー、脂肪は15グラムである。ウォルマートが販売している類似品で、脂肪分が少ない73%の牛肉ハンバーガーは340キロカロリー、脂肪は30グラムである。
アップルゲートが販売しているターキーバーガーには、さつまいも、白豆でローストした玉ねぎとケールなど、先ほどの製品とは異なる野菜を使用している。通常のターキーバーガーと比べると、しっとりしていて風味がある。ジンゴ氏によると、アップルゲートでは材料の混合に際してはシェフと協力して行い、野菜とその食感をあえて隠さないようにしたという。「肉のようにするために、野菜や植物をすりつぶしたのではない」と同氏は言う。
味付けに塩を使う植物由来のハンバーガーと比べて、肉と野菜を混合したハンバーガーの方がヘルシーな場合もある。タイソン・フーズの「レイズド・アンド・ルーティッド」ハンバーガーは150キロカロリー、脂肪7グラム、ナトリウム260グラムである。これに対しインポッシブルフーズのハンバーガーは240キロカロリー、脂肪14グラム、ナトリウム370グラムである。
市場調査会社ミンテルでグローバルフードアナリストを務めるダーシャ・ショー氏は、食肉加工企業は市場の発展に合わせて、植物由来の肉以外にも細胞から育てて作る培養肉など、提供する製品を複数持たなくてはならないと説明する。
「今後数年、もしくは10年も経つと、動物性たんぱく質を摂る手段が減っていくものの、品質は良くなるだろう。消費者が肉を食べなくなることはないが、その機会は減っていくだろう。ただし、品質は良くなる」と、同氏は語る。
ただ、いまのところ大きな障害が一つある。それは価格だ。アップルゲートが提供するウェル・カーヴドバーガーの値段は4つで9.99ドルである。アルディが提供している同じ量のオーガニックビーフを使ったハンバーガーは5.29ドルだ。オーガニックでないひき肉を使ったハンバーガーはさらに安い。
ショー氏によると、野菜の値段は肉よりも安いため、混合製品に高い料金を要求しなくてはならない理由を消費者に説明するのは難しいという。混合製品の価格が高いのは、開発費用の回収、新たな野菜の調達、混合にかかる人件費が必要だからだ。
タイソン・フーズのアーヴィン氏は、類似製品が出回るにつれて価格は今後低下していくだろうと話している。
By DEE-ANN DURBIN AP Business Writer
Translated by Conyac
"ニーズ" - Google ニュース
March 27, 2020 at 06:05PM
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肉に野菜を混ぜる 健康ニーズに応える米食肉加工メーカー - NewSphere
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