Pages

Thursday, May 28, 2020

コロナ禍でニーズ増す金融サービス 「LINE Score」「LINE Pocket Money」の戦略とは? - ITmedia

 LINEのスコアリングサービス「LINE Score」の登録ユーザーが500万人を突破した。LINE Scoreは個人の信用度を独自の基準で点数化することで、金融サービスをはじめとした各種サービスへの展開を図ろうとしているが、それを実際に活用しているサービスとして個人向けローンサービス「LINE Pocket Money」がある。同社ではこうした金融サービスをテクノロジーで強化することを、「Credit」と「Technology」を合わせた「Credit Tech」として位置付け、さらにサービスを拡大していきたい考えだ。

LINE Pocket Money LINEアプリ内から利用できる個人向けローンサービスLINE Pocket Money

LINE上のサービス利用状況を踏まえたスコアを表示

 LINEの子会社であるLINE Creditが提供するLINE Scoreは、月間利用者数8400万人のLINEユーザーが利用可能なスコアリングサービス。15問の質問に回答すると、LINE上のサービス利用状況を踏まえた独自のスコアリングモデルでユーザーの信用度を1000点満点で表示する。そのスコアにもとづき、「ユーザーのライフスタイルに合った特典やキャンペーンを提供する」ことが狙いとされている。

LINE Pocket Money メッセンジャーをはじめとした各種LINEサービスの行動データからスコアリングするLINE Score
LINE Pocket Money 15の質問は当初から変更がないが、行動データは日々変化するため、定期的にスコアに反映されているという

 全て個人の同意にもとづいてスコアリングするため、LINE Score開始時の規約に同意して初めてスコアが算出され、利用していないユーザーのスコアは算出していない。スマートフォンの普及でパーソナライズ化が加速し、オンライン上での行動データが蓄積されたことで、ビッグデータを機械学習で解析して個人に合ったサービスが提供できるようになった、とLINE側では話す。

 LINE上の行動データは、メッセンジャー、ニュース、漫画などのエンターテインメント、コマース、金融など、同社の各種サービスでの行動を踏まえたもの。いつ、どこで、何を買った、といった細かい情報ではなく、「ユーザーがどういうコミュニケーションを大事にしているか、消費傾向、興味関心などを抽象化した上でスコアを算出している」(同社)という。

 メッセンジャーの利用データも活用されるが、もともとLINEのメッセンジャーや音声通話は暗号化されていてLINE自身にも中身を見ることはできないため、メッセージ本文のようなセンシティブなデータは使われていない。

“社会性のスコア”として多方面での応用が可能

 こうして得られたスコアリングは、「約束を守るなどの社会性のスコアと捉えている」と同社。信用度がスコアとして可視化することで、さまざまな応用が可能という認識だ。

 その一例として、シェアリングサービスでの個人同士のマッチングでは、信用が図れないためにマッチングしにくいという課題があったという。LINE Scoreによって信用度を担保できることでサービス拡大につなげられる、というのがLINE Scoreの方向性だ。

 現時点で提供されているLINE Scoreの応用事例として挙げられるのが「LINE Pocket Money」だ。LINE Pocket Moneyは個人向けローンサービスとして2019年8月からサービスを提供。申込数は20万を超えている。LINE上で完了するローンサービスであり、スマートフォンで契約、返済などが全て完結するのが特徴。貸し付けられた資金もLINE Pay上に振り込まれるので、そのまま決済に使用することもできる。

 契約極度額は5万〜300万円で、融資額は1円から1円単位で可能。実質年率は3.0〜18.0%。この利率の変動がポイントだ。LINE Scoreのスコアが高いと信用度が高いと判断され、利率が低く抑えられる、というわけだ。

 新型コロナウイルスの影響で収入が減って困難に直面している人も増えている。特にフリーランスや非正規雇用への影響が拡大している、と同社ではみている。実際、Pocket Moneyにおける雇用形態別の申し込み構成比では、フリーランスや非正規雇用、従業員10人以下の小規模事業者の在籍者が増加傾向にあるという。

LINE Pocket Money 新型コロナウイルスの影響でフリーランスや非正規雇用者に影響が拡大している
LINE Pocket Money Pocket Moneyの新規契約者の申し込み構成比にも変化が見られる

 他にも、飲食業の従業員、賃貸住宅の居住者の申し込みが増えているそうで、「伝統的な金融機関のローンで評価されにくい傾向のある属性の人の申し込みが増えている」という。

LINE Pocket Money 他社では評価されにくい傾向のある属性の人の申し込みが増えている

個人にフィットしたフェアな与信ができる

 一般論でいえば、経済情勢が危機的な状況にあると、金融機関は与信を引き締めて貸し付けを控える傾向にある。それに対して、Pocket Moneyでは現状でも与信の引き締めはしておらず、LINE Scoreを活用した貸し付けを実施しているという。与信では通常の信用情報も用いて、共同出資しているみずほ銀行やオリエントコーポレーションのノウハウも掛け合わせてはいるが、ここにLINE Scoreが入ることで、個人のスコアに応じた利用限度額や利率が適用される。

LINE Pocket Money Pocket Moneyの各種条件

 個人の属性や肩書などの画一的な与信ではなく、個人の行動データを基盤にしたスコアを加味することで、「個人にフィットしたフェアな与信ができるのではないか」と同社は強調。実際、同社の調査ではスコアを利用したローンサービスに利用者の7割がポジティブな印象を持っていたという。

LINE Pocket Money 従来の与信情報に加えてLINE Scoreを活用するのが特徴

この記事が気に入ったら
ITmedia Mobile に「いいね!」しよう

消費者金融大手3社に比べて平均で約4%低い金利

 一般的なローンでは契約限度額の大きさに比例して金利が低くなり、少額帯では金利が高いという傾向があったが、Pocket Moneyならスコアに応じて額にかかわらず金利が決まり、消費者金融大手3社に比べて平均で約4%低い金利になっているという。これには、もともと店舗を持たず、広告宣伝費や人員のコストが低いという競争優位性の効果という面もあるようだ。

LINE Pocket Money 契約にはe-KYCを活用し、LINE上で返済できるスマートフォン完結型なので、コロナ禍の状況で外出しなくても貸し付け、返済ができる

 さらに、他の大手では100万円未満の極度枠で5%を切る利息の設定がない状況だが、Pocket Moneyでは最低で3%という利率を実現。平均でも11%と他社よりも低い数字になるそうだ。加えて5月31日までの期間限定で、利息分をLINE Pay残高として返金するキャンペーンを実施している他、6月11日からは新規契約日から利息100日間実質無料として、利息をさらに安価に抑えられるようにする。

 またPocket Moneyの利用者の多くはLINE Pay残高から出金して現金化をしているという。LINE Payで支払えないサービスも多いためだが、現状、この出金にはLINE Payの仕様として出金手数料が発生する。これに対して、6月から出金手数料無料化のキャンペーンを実施する計画で、反応を見て無料化を定常化するか判断するそうだ。

新型コロナの影響でPocket Moneyの利用が増加

 LINE Scoreによるスコアリングと実際の貸し倒れ発生率などとの相関は、「まだスタート8カ月のサービスで評価する段階にはない」と同社。ただ、延滞発生率などの指標では、他社の統計データと比較しても極端に高いということはないようで、「想定の範囲内」だという。今後、サービス提供が続くことでスコアリングモデルの改善を見込む。

 新型コロナウイルスの影響で、Pocket Moneyの利用者は4月には前月比116%と拡大。他社が無人機の営業短縮などで申込数が減少する中、スマートフォンで完結することで利用者が伸びた。今後の新型コロナの影響度合いによって、さらに突発的な資金需要が増えると予測され、そうしたニーズに応えたい考えだ。

 日本では、クレジットカードは1回払い、キャッシングや個人向けローンは忌避されるという傾向がある。リスクはあるし、返済に関して計画的な利用が必要になるのは確かだが、必要なときに必要な金額の融資を受けて、きちんと返済するというのは海外ではネガティブな行為ではなく、同社ではそうした意識の変化も目指していきたいとしている。

 新型コロナウイルスの影響は、フリーランスや個人事業主への影響も大きかったが、逆に「多様な働き方に対する法的な保護が整備される可能性が高い」という認識を同社は示す。そうした点から、現時点でLINE ScoreとPocket MoneyというCredit Techのサービスをさらに拡大する意向。

 今後、個人向けローンサービスに加えて中小企業向けローンやあと払い、保証サービスを展開していく。LINE Score自体は個人向けのスコアリングモデルのため、全く異なるスコアリングモデルを採用していく計画だ。

LINE Pocket Money Credit Techを個人向けだけでなく、中小企業向けにも展開。さらにサービスを拡大していく

この記事が気に入ったら
ITmedia Mobile に「いいね!」しよう

Let's block ads! (Why?)



"ニーズ" - Google ニュース
May 28, 2020 at 05:47PM
https://ift.tt/2Xd1JqH

コロナ禍でニーズ増す金融サービス 「LINE Score」「LINE Pocket Money」の戦略とは? - ITmedia
"ニーズ" - Google ニュース
https://ift.tt/3boDo6a
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

No comments:

Post a Comment