新型コロナウイルスの感染拡大は人々の健康意識を大きく変えた。新しい生活様式への対応が求められる中、化粧品やサプリメントの需要はどうなるのか。ファンケルの島田和幸社長に聞いた。
――緊急事態宣言中は多くの直営店舗が休業し、通信販売にシフトしました。
「店舗販売は売り上げ全体の3割を占めていた。インバウンド(訪日外国人)も渡航制限でほぼゼロになった。このため直営店舗でしか買ったことがない顧客に通販を利用してもらえるよう、送料を無料にしたり割引クーポンを付けたりと様々なしかけをした」
――顧客のニーズに変化はありましたか。
「現在女性の関心は基本的なスキンケア。通販ではクレンジングが前年比1.5倍、洗顔料が同1.8倍売れている。アルコール消毒の機会が増えたことでハンドクリームも伸びた。一方で外出機会が減り、口紅などメーク類は売れない」
「再開後の売り場は変える。キーワードは清潔や洗浄。マスクによる日焼けや乾燥対策の保湿も大事だ。サプリメント分野では、免疫力を高めたいという意識がある。ビタミンやミネラルを選びやすいよう勧めたい」
――健康意識の高まりは一過性でしょうか。
「今後も続くと思う。感染症に立ち向かうなかで、自分の健康は自分で守るという意識が出てきた。我々にとって新しいチャンス。これから基礎化粧品や健康食品のニーズは必ず高まる」
「10年ぐらいかかって起こるような変化がここ数カ月で起きた。今までのやり方ではいけない。社内では『検討』を禁止し、すぐに取り組むよう指示している」
――業界全体の回復はどうなりますか。
「日本の化粧品メーカーはインバウンドや海外展開に支えられていた面がある。一気に回復するのは難しいだろう。特にアジアは厳しい。中国国内も安定的に消費が戻るのか心配だ」
「相当なスピードで(商品購入の仕組みが)リアル(現実)からインターネットに変化する。現金授受に感染リスクを懸念する人もいる。キャッシュレス化も広がるのではないか」(聞き手は浦崎唯美子)
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June 01, 2020 at 07:00PM
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新型コロナ:「ニーズの変化、チャンスに」 ファンケル・島田社長 - 日本経済新聞
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