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Sunday, August 30, 2020

コンテンツ供給量は過剰気味?動画ストリーミングサービスのマーケティング担当者が注目すべき5つの傾向 - @DIME

COVID-19の感染拡大によって、動画コンテンツの視聴時間や視聴デバイス、頻繁にみるようになったジャンルなど何らかの変化があったという人は多いはず。

アドビがAdobe Analyticsを使用してOTT(オーバー・ザ・トップ)、デスクトップ、モバイルでオンライン視聴された、視聴回数240億回以上、視聴時間66億時間以上にのぼる動画コンテンツを分析したAdobe Digital Insightsにおいても、米国における動画コンテンツの消費に関する興味深い行動パターンが明らかになった。

7月に米国の消費者1,043人を対象に実施された補足調査と合わせて分析すると、マーケティング担当者が注目すべき次の5つの傾向がわかってきた。

1.動画コンテンツの「ビンジウォッチング(まとめ視聴)」は外出自粛要請と連動

数か月にわたって続いた動画コンテンツのまとめ視聴ブームも、2020年7月にはその勢いが低下し始めていた。

外出自粛要請が出始めた3月以降、動画の視聴と視聴時間の両方が急増したが、その後いくつかの州で外出自粛要請が解除され、COVID-19感染者数の増加率も平坦化したため、6月になると消費のペースも以前のレベルに低下する動きを見せ始めていた。

しかし、7月に入ると動画の視聴回数は低いレベルのままだったものの、視聴時間は3月に観測された高いレベルにまで戻った。

これは、消費者が以前ほどコンテンツを探して動画を次々と閲覧する「サーフィン」をしなくなっており、新規視聴者数も少ないことを意味する。

「視聴時間が7月に再び急増したのは、多くの州でCOVID-19感染者数が再び増加し始め、いくつかの州では解除直後にもかかわらず再シャットダウンが実施されたことと強い関連があります」と、アドビのデジタルインサイト担当シニアマネージャーであるヴィヴェク パンドゥヤ(Vivek Pandya)氏は指摘する。

2.動画の完全視聴率は増加

動画の完全視聴率は2019年初頭から一定のペースで低下していた。これは、増加し続けるサービスや数々のオリジナルコンテンツに消費者が圧倒されていたことが影響している。そして、完全視聴率低下の傾向は2020年に入っても続いた。

ところが、4月になると動画の完全視聴率が伸び始め、この傾向は7月になっても続き、7月の完全視聴率は、前年同月比で11%もの増加を見せた。

今回の調査と同時に実施した消費者調査のデータによると、動画コンテンツを最初から最後まで見るかの問いに、63%の消費者が「いつも最後まで見る」あるいは「大抵の場合は最後まで見る」と答えており、この数字を裏付けている。

「完全視聴率は、動画コンテンツに付随する広告のパフォーマンスに大きな影響を与え、その動画自体の視聴誘引力を示し、広告の効果測定およびコンテンツ開発戦略の評価を左右する、非常に強力な指標です」とパンドゥヤ氏は述べ、こう続ける。

「2020年の最終四半期に向けて、完全視聴率がこのまま高いレベルを維持するのか、また以前のような状態に戻るのか、そしてその推移が広告戦略にどう影響を与えるのかは、興味深いところです。」

3.OTTの成長の裏でモバイルが犠牲に

COVID-19の感染拡大以前は、モバイル端末の高機能化と動画コンテンツの充実により、モバイル動画の消費は着実に成長し続けている。

「2020年初頭、コンテンツプロバイダーにとってモバイル動画はチャンスの領域でした。ところが外出自粛要請が大きな転換点となったのです」と、パンドゥヤ氏は語る。

アドビがAdobe Analyticsを使用してEコマースの最新状況を追跡するデジタル指標、Digital Economy Index(DEI)(英語)のレポートによると、ショッピングなどの領域においてはモバイルが成長しているものの、消費者は動画視聴にモバイル端末を使っていないようだ。実際、ここ数か月の動画消費の主な成長領域は、OTTサービスを使ったHulu、Netflix、Disney+などの視聴だった。

動画の滞在時間を分析しても、データは似たような結果を示している。OTTが主な成長ドライバーであり、4月などに数度大きなピークを観測している。

「5月から7月までの3か月間、モバイルの動画滞在時間は、減少傾向にあります」と、パンドゥヤ氏は説明。「そしてデスクトップは、6月に予想外の急上昇を見せましたが、OTTのような成長ドライバーにはなっていません。」

4.ニュースコンテンツが主役、続いて映画

今回の調査の中で、消費者に対して3か月前と比較してより多く見るようになったコンテンツについて質問したところ、ニュースと回答した消費者が半数以上(54%)、次いで映画、ホラー、コメディ、子供・家族向けの順となっている。さらに、回答者の59%が、映画館に行かなければ見られない新作映画がオンデマンドサービスで提供される状況は好ましいと回答している。

5.コンテンツの供給は過剰気味

外出自粛期間中、多くの時間を動画を見ながら過ごした消費者も、その40%が番組の選択肢の多さに圧倒されていると感じている。消費者調査では、動画をストリーミングするアプリやサービスが多すぎて、管理が難しいと感じている回答者が40%にのぼった(29%は難しくない、31%がどちらでもない、と回答)。

しかし、これは単に複数サービスへの加入に起因している可能性もあるとパンドゥヤ氏は指摘する。調査では、加入サービス数が1〜3の消費者が60%、4〜7が35%で、8以上が約6%だった。

「コンテンツについてCOVID-19が私たちに示してくれたことがあるとすれば、それはデジタル動画が現代の消費者の日常の一部としてより定着し、パンデミックが去ったとしてもそれは変わらないということです。だからすべてのマーケターは動画コンテンツを大量に作り始めるべきだ、ということではありません。私たちはむしろ、企業が追求すべきは、動画コンテンツの量より質だと考えます。消費者が求めるもの、彼らのニーズ、どんなコンテンツを視聴したがっているのかについて深く考えるべきです」と締めくくった。

*本記事は、2020年8月13日にアドビのエンタープライズソートリーダーシップ エグゼクティブエディターのジゼル アブラモビッチ(Giselle Abramovich)氏が投稿したブログの抄訳版だ。

出典元:アドビ・ブログ
https://blogs.adobe.com/japan/

構成/こじへい

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