災害時の避難所で世帯ごとの空間を確保する間仕切りシステムの供給に向けて、川崎市は三十日、NPO法人「ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)」(東京)と東北大災害科学国際研究所の三者で協定を結んだ。「専門家の知見や技術を得て、感染症対策やプライバシー確保など避難所の課題を解決したい」としている。
間仕切りシステムは、紙管をフレームに用いて布を掛ける方式で、簡単に組み立てが可能。縦、横、高さとも約二メートルの空間を確保でき、紙管の連結によって空間を増やせる。一分程度で組み立てられる紙の簡易ベッドも用意。これまでに東日本大震災や熊本地震などの避難所に使われてきた。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、布には抗菌加工を施し、飛沫(ひまつ)感染を防ぐ効果があるという。
協定では、市は災害時に必要な量の間仕切りシステムの供給をVANから受け、経費を負担する。東北大は、市内避難所の運営や生活環境改善の研究、助言を担う。VANによると、同様の協定は神奈川県や秦野市とも結び、川崎市は五十六自治体目だが、東北大との三者協定は初という。
市危機管理室によると、市内百七十六カ所の避難所で授乳などに使うテントは用意しているが、今回のような世帯ごとの間仕切りシステムは備えていない。
VAN代表で、国内外で被災者支援に取り組む建築家の坂茂(ばんしげる)さんは市役所で会見。避難所のプライバシーを気にして車中泊をする女性も多いとし、「やっと安心して眠れる、という被災者の声を聞くとうれしい」と述べた。 (安藤恭子)
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