【ロンドン】英製薬大手アストラゼネカは、当初は採算を度外視して販売すると表明していた新型コロナウイルスワクチンについて、売り上げが費用に追いつかず業績を圧迫したとの見方を明らかにした。ワクチンを巡る取り組みが今後も利益率を左右するとの警戒感を示した。
アストラゼネカは1-3月期決算で、英オックスフォード大学と共同開発したコロナワクチンの売上高として2億7500万ドルを計上。同期間の供給量は世界全体で6800万回分にとどまり、目標を大きく下回った。
アストラゼネカがワクチン供給で大きく後れを取っていることで、欧州では政治的緊張が高まっている。欧州連合(EU)は今週、EUと結んだワクチン契約を履行していないとして、アストラゼネカを提訴した。同社は契約分の供給確保に尽力していると述べた。
同社の1-3月期のワクチン売上高の大半は欧州向けで2億2400万ドル、そして4300万ドルが新興国向けだった。米ファイザーや米モデルナなどのワクチン売上高が数十億ドル規模に達すると予想される中、これは見劣りする数字だ。
アストラゼネカにとってワクチン事業は、少なくとも初期段階では業績を下押し、これがなければ好決算となっていた。売上高と利益は予想を上回り、株価は30日に上昇した。
同社は1年前、オックスフォード大とコロナワクチンへの取り組みで協力することに合意。製造委託先とともにこれまでに3億回分のワクチンを世界で供給した。
アストラゼネカによると、ワクチンの「公平な供給」をもうけなしで進めるのはコストがかかり、全体の利益率に実質的な影響が出た。1-3月期のコアの売上総利益率は3ポイント低下し、74.6%となった。
同社は売上総利益率の四半期ごとの変動は続く可能性があると予想。幹部は電話会見で、ワクチン供給を継続することで利益率が安定し、いずれ収支トントンになるとの見方を示した。
アストラゼネカのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)は、失望や批判にさらされてはいるものの、コロナワクチンへの取り組みや非営利目的でオックスフォード大と協力したことを後悔していないと述べた。感染爆発に見舞われているインドでは、同社のワクチンがもっとも広く普及していると指摘した。
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