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Wednesday, May 5, 2021

新車納期遅延でコロナ禍による自動車ニーズは中古車へ---矢野経済研究所 - レスポンス

矢野経済研究所は、2020年国内自動車アフターマーケット市場(中古車含む)の調査を実施し、その結果をまとめた。

調査は 2021年1月~3月にかけて自動車アフターマーケット関連事業を展開する企業・団体、および管轄官庁等を対象に、同社専門研究員による直接面談、電話・eメールによる取材、文献調査を併用した。

三密回避によるニーズは中古車へ

2020年の国内自動車アフターマーケット市場規模は、前年比1.8%減の19兆0014億円と推計する。自動車流通の起点となる新車販売は、2019年10月の消費増税の影響に加え、2020年の年初から始まった新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の影響により上期は需要が低迷。その後、「三密」を回避する移動手段として自動車に対する需要が高まり、新車・中古車ともに小売需要は回復に向かったものの、自動車生産体制の抑制が新車の納期遅延に繋がり、2020年通年の販売台数は同11.5%減の459万9000台にまで落ち込んだ。新車の納期遅延が年間を通して解消し切れない中、人々の自動車に対するニーズは在庫があり即納も可能な中古車に向かった結果、2020年の国内中古車登録台数は同1.8%減の678万7000台となり、新車と比較するとマイナス幅は小幅なものに留まった。

また、国内の自動車保有動向については、保有長期化の傾向も継続し、2019年の四輪車保有台数は過去最高の7862万台となった。保有台数は人口動態の観点から中長期的には減少が不可避であるとみるが、コロナ禍の中にあって、三密回避の移動手段として自動車に対する人々のニーズは高まる傾向にあることは、保有台数が減少に向かうことに対する一定の歯止めになる可能性もある。その一方、法人企業ではリモートワークの普及などに伴い社用車を減車する動きもあるなど、コロナ禍によってもたらされたニューノーマルが今後の自動車保有動向に一定の影響を及ぼしていく可能性は大きい。

中古車相場は「輸出需要」と「国内小売需要」で乱高下

世界各国の都市封鎖によって、2020年は日本からの中古車輸出が停滞した期間が生じ、中古車輸出台数は通年で106万2000台。月別では4~5月が前年同月の半数まで落ち込んだ。

オートオークション市場でも、2020年上半期は輸出向けの出品車両に買い手が付かなかったことで相場が下落。さらに新車の納期遅延に伴い中古車の発生も抑制されたことから出品台数も減るという悪循環に陥った。しかし、6月以降は都市封鎖の解除に連れて輸出需要も回復傾向に転じたことで、オークション相場価格は上昇に転じた。

下半期は輸出向けと国内小売向けの両需要が一気に回復傾向に入ったものの、中古車の流通量は新車の納期遅延の影響が続く中で増加せず、オートオークションでは落札競争が活発化し、相場は年後半にかけて上昇を続けた。中古車販売店にとっては小売実需を背景に持つものの、車両の仕入コスト高な年となったといえ、中古車小売価格も引き続き高い水準で推移したと考えられる。

自動車需要継続で市場拡大も、半導体不足による納期遅延がネック

2021年は半導体の部材供給逼迫をボトルネックとして、再び自動車生産量が低下する可能性を孕む。一方、三密回避の移動手段として自動車に対する需要は継続的に存在していることから、2021年の新車販売市場もプラス・マイナスの両要因を抱え続けることになる。

中古車市場は新車販売時の代替が発生起点であり、中古車流通量は新車販売規模に左右される。自動車に対するニーズは今後も増加し続ける可能性が高いが、新車の納期遅延が常態化し続けると、代替車両の発生減少から中古車の流通量も減り、オートオークション出品台数も減少することで、相場価格の高止まり状況は続く。反対に、供給の逼迫が解消され新車販売が回復すると、代替車両が発生して中古車流通量が増加し、オークション相場は弛緩すると見る。

自動車部品・用品市場は車両販売動向に大きく依存するため、2021年の動向は新車・中古車市場のシナリオ如何となる。一方、自動車利用機会の増加は整備需要増に結び付くため、自動車整備市場は車両販売動向だけでなく、今後のニューノーマルな生活における人々の車利用にも依拠すると考えられる。

オートリース市場は、社用車の減少から法人リースは前年比マイナスとなるも、個人向けオートリースはマイカー需要の増加を糧に伸長し、市場全体では成長を続けると考える。レンタカー市場は、引き続き国内一般消費者における日常利用が重要となり、2021年は前年比では回復するも、回復幅は小規模に留まるとみる。カーシェアリング市場は、企業、一般消費者どちらの利用目的にもマッチしうるサービスシステムのため、需要側だけでなく供給側(サービスプロバイダー)の動きも活発化し、市場も拡大を続けると見込む。

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