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Monday, June 21, 2021

FRBの筋書きに狂いも、供給制約が来年も継続なら - Wall Street Journal

 供給制約が深刻化している。半導体からスウェットパンツまであらゆる物不足を引き起こし、企業を悩ませる。インフレ圧力も高めているため、好調な米景気を維持するという米連邦準備制度理事会(FRB)の決意が試されている。

 エコノミストや企業幹部らは現在、こうしたサプライチェーン(供給網)の混乱や重要な労働力の不足、数回の財政刺激策に伴う需要の回復が、来年以降はともかく、年内いっぱい続くとみている。

 FRBのジェローム・パウエル議長は16日、直近の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、「供給をある程度の水準まで回復させることよりも、需要を創り出すことの方が圧倒的に容易なのは明らかだ」と述べた。

 こうした米企業への圧力が緩和に向かう兆しはほとんど見られず、特に製造業の状況は厳しい。

 米供給管理協会(ISM)が発表した5月の製造業景況指数では、生産と雇用の伸びが鈍る一方、新規受注と受注残は伸びが加速した。

 米国の生産活動も新型コロナウイルス禍からの回復が鈍い。巣ごもり消費者のモノ需要が急増したというのに、だ。5月の製造業生産は0.9%増加し、4月の0.1%減少からプラスに転じた。鉱業と公益事業も含めた鉱工業全体では、コロナ流行前の水準を1.4%下回る水準にとどまった。

 これは世界的な問題だ。貨物取扱量の多い中国の港に加え、マレーシアと台湾で新たにコロナ感染が拡大したことで、船舶輸送にさらに遅れが生じ、すでに品薄の半導体がますます入手しづらくなっている。

 国際金融協会(IIF)がまとめた6月の報告書によると、世界中の製品コストを押し上げている部品供給の遅れは2022年にかけて続き、世界的なインフレ懸念を高める可能性が高い。

 報告書は「近年、これほどの状況に陥ったことはない」と結論付けている。

パウエルFRB議長は16日、直近のFOMC後の記者会見で、「供給をある程度の水準まで回復させることよりも、需要を創り出すことの方が圧倒的に容易なのは明らかだ」と述べた

Photo: Federal Reserve

 供給が消費者需要に追い付いた時点で、企業は空になった在庫を補充する必要もある。米商務省国勢調査局の統計によると、4月は小売在庫の売上高に対する比率が1992年以来の低さとなった。小売業者の販売在庫は約1カ月分しかない。

 多くのエコノミストと企業はほんの数カ月前まで、今回の回復もこれまでの回復局面と似たような展開になるとみていた。一時的な供給不足が物価を押し上げるものの、メーカーが生産を拡大できるようになれば物価高はすぐ終息するとの見方だ。だが、労働力不足の長期化や船舶輸送の遅れ、コモディティー(国際商品)価格の上昇、さらに消費者の旺盛なモノ需要の継続を受けて、そうした考えを改めた。

 米金融大手ジェフリーズのチーフエコノミスト、アネタ・マルコフスカ氏は「最良のシナリオでも、これは12カ月未満では終わらない」と指摘。消費者が学校の再開に向けた買い物を本格化するようになれば供給不足は悪化しそうだとし、「9月までに深刻な商品不足に陥る可能性が非常に高い」と述べた。

 こうした状況を受けて、インフレ予想は上昇している。

 FRB幹部らは16日、年末時点のインフレ率見通しを3.4%とし、3月時点の予測2.4%から引き上げた。さらに上昇する可能性もあるとパウエル議長は言う。

 「需要の変化は大きく急速なものになり得るし、ボトルネックや労働者確保の難しさといった供給制約が、供給の調整スピードを抑え続けることも考えられる。そのため、われわれの予測を上回るインフレ率が想定よりも長引く可能性が高まっている」と議長は述べた。

 企業は適応しつつある。

 米衣料小売り大手バーリントン・ストアーズのジョン・クリミンズCFO(最高財務責任者)によれば、同社は西海岸の港での貨物滞留に伴う輸入の遅れ、国内貨物コストの上昇、配送センターの人手不足と賃上げへの対応を余儀なくされた。

 同氏は5月27日に行った決算の電話説明会で、今頃までには業界全般のサプライチェーン問題が解決し始めると予想ないし期待していたが、「むしろ、世界全体の供給状況はやや悪化したようだ」とし、問題が解決するのは来年以降との見方を示した。

 米デル・テクノロジーズのトーマス・スウィートCFOは、サプライチェーン問題によって部品価格が上昇し、上昇分を消費者に転嫁することになると発言。供給制約は来年も続くとみているという。

 FRB幹部らは、足元の需給ミスマッチは一時的との見通しを示してきた。また、インフレ率は来年には下がると予想している。

 だが、在庫ひっ迫や供給不足が2022年も続けば、物価には一段と上昇圧力がかかる。そうなれば、FRBは想定よりも早く緩和策の見直しを迫られるかもしれない。

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