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Monday, June 14, 2021

アジアで感染拡大 海運・半導体供給が混乱 - Wall Street Journal

 【香港】欧米諸国が急速に日常を取り戻す中、新型コロナウイルスワクチンの接種が始まって間もないアジアで感染が拡大、世界的サプライチェーンにボトルネックが生じている。物価が上昇し、コロナ後の景気回復が圧迫される恐れがある。

 中国南部に位置する世界有数の港で感染が拡大し、国際海運に遅れが生じている。台湾とマレーシアにある半導体サプライチェーンの重要拠点でも感染者が発生。自動車・テクノロジー業界の生産を阻害している世界的な半導体不足に拍車がかかっている。

 感染拡大による混乱でインフレ懸念も高まっている。先週発表された中国の生産者物価指数と米国の消費者物価は前年同期比で10年以上ぶりの高い伸びを記録した。問題が解消しなければ、世界経済の成長の圧迫要因になりかねない。

 エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの国際貿易担当主任アナリストで、香港に拠点を置くニック・マロー氏はアジアでの感染拡大について、「国際貿易の回復が確認され始めた微妙なタイミングで起きた」と話した。

中国珠海市で行われた新型コロナ検査(8日)

Photo: china daily/Reuters

 中国・深セン市のコンテナ港、塩田港では港湾労働者の間で感染が広がり、荷動きが事実上停止。空コンテナの慢性的な不足に加え、1週間にわたるスエズ運河封鎖にも苦しんだ国際海運業界にさらなる負担を強いている。

 仲介業者によると、一部の船は塩田港での貨物の積み込みに最長で2週間待たなければならず、約16万個のコンテナが積み込み待ちになっている。フレイトス・バルチック国際コンテナ指数によると、40フィート(約12メートル)コンテナ1個の米西海岸までの運賃は6341ドル(約70万円)まで上昇、年初と比較すると63%高く、前年同期比では3倍を超えている。

 ライナー・リサーチ・サービシズのアナリストでシンガポールに拠点を置くホワ・ジョー・タン氏によると、塩田港は現在、通常の30%の水準で操業しており、遅れは数週間続く恐れがある。

 デンマーク海運大手A・P・モラー・マースクのネットワーク部門のトップ、ラース・ミカエル・イェンセン氏は塩田港について、「巨大かつ非常に活発な港。そこで遅れが出ると、世界中のサプライチェーンに波及する」と指摘する。

 イェンセン氏によると、スエズ運河が1週間封鎖されたときは、積み込み待ちのコンテナの処理に10日かかったが、「今回は終わりが見えない。中国は感染が広がらないと確信するまで全ての閉鎖を続けるだろう」

 一方、台湾――自動車業界で使用される半導体を含め、世界の半導体生産能力の5分の1を占める――は新型コロナの流行が始まってから最悪の感染拡大に見舞われている。

 台湾半導体検査・パッケージング大手の京元電子では今月、新型コロナ検査で200人を超える従業員の陽性が確認され、2000人の従業員が隔離されている。これによって同社の今月の売上高は約3分の1減少する。

 クラスター感染が集中している苗栗県の職員によると、近隣の半導体企業でも職場感染が発生している。

 世界最先端の半導体の生産の92%を占める台湾積体電路製造(TSMC)はまだ影響はないと述べたが、新竹市にある本社近くで感染者が出ている。

 カウンターポイント・リサーチの半導体アナリスト、ブレイディ・ワン氏は半導体の世界的供給不足が深刻化していることを踏まえ、台湾のテクノロジーセクターでの感染拡大で「当然、不足に拍車がかかるだろう」と話した。

 マレーシア――半導体生産や、家電や自動車に搭載されるコンデンサや抵抗器などの主要モジュールの生産に関わる外資の工場が数多く進出している――でも、感染者数の増加で生産活動が混乱している。

 ドイツの半導体メーカー、インフィニオン・テクノロジーズは今月、マレーシアにある2カ所の工場のうち1カ所について保健当局から閉鎖を命じられ、一部の半導体の納入が遅れている。広報担当者のグレゴール・ロードヒューザー氏によると、世界の他の地域にある同社の工場は稼働率が高く、マレーシアの生産の遅れを補うことはできないという。

 マレーシアで太陽誘電が操業する工場で従業員の感染が確認されると、インフィニオンの工場は念のため、休業期間を14日まで10日間延長した。

 マレーシア半導体産業協会によると、ロックダウン(都市封鎖)によって生産は15%から40%減少する見通し。協会長のウォン・シュウ・ハイ氏は「サプライチェーンのどこかが何らかの形で混乱するだろう」と述べた。

 中国の景気回復を引っ張ってきた輸出部門がコロナ感染拡大による混乱で逆風にさらされ、世界的なインフレ圧力が強まる恐れがある。

 JDドットコム(京東)の金融部門(北京)でチーフエコノミストを務めるシェン・ジアングアン氏によると、中国ではこれまでメーカーが投入コストの上昇分をほぼ吸収、同国は世界的なインフレ圧力の抑制に重要な役割を担ってきた。しかし港の混乱が波及して世界で消費者物価が上昇する恐れがある。

 深センがある広東省では、一部メーカーが感染拡大を受けて利益率のさらなる低下を避けるため、値上げや生産の一時停止を余儀なくされている。

 政府関係者やアナリストの一部は今のところ、港の混乱の影響を深刻視していない。

 中国商務省の高峰報道官は10日、広東省での感染再拡大について、対外貿易にまだ目立った影響はないと述べた。同省の約2000の輸出業者のうち、新規受注がまだ前年同期を上回っているという業者は半数を超えている。

 半導体アナリストのワン氏は台湾の感染拡大が半導体生産に与える影響について、最小限にとどまるとの楽観的な見方を示した。

 感染拡大による逼迫(ひっぱく)がいつ改善するかははっきりしない。アジアの多くの政府は短期的な経済的苦痛があっても感染者をできるだけ減らそうとしているため、サプライチェーンを取り巻く状況は持ち直す前に一時悪化する恐れがある。

 証券会社CLSAの台湾調査部門を率いるパトリック・チェン氏は「現時点での最重要課題は個別企業の感染を封じ込めて、さらなる感染拡大を防ぐことだ」 と話す。「それができなければ、混乱は今よりもはるかに深刻なものになるだろう」

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