DX化が進む中、企業ではさまざまなツールが浸透しているが、特に労務管理ツールが多く導入されている。コロナ禍におけるテレワーク化により、人事労務業務のリモート化が求められる中、労務管理ツールを含む人事管理システムがより注目を集めているようだ。
そこで今回は、人事管理システムを開発提供する企業にインタビューしながら、人事管理周りのテレワークニーズや機能を紹介する。
DX化で浸透する労務管理ツール
今回取り上げる人事管理システムとは、人事・労務に関するデータを一括管理するもので、従業員の人事管理・人事評価管理機能のほか、給与管理などの労務管理、採用管理、給与管理などの機能を持つものだ。
2021年4月にディップが行った「DXサービスの導入に関する状況」に関する調査結果によれば、DX推進に当たって、デジタルツールを導入済み企業が導入しているツール1位は「勤怠管理・Web給与明細などの労務管理ツール」がトップで約6割にも上った。うち、7.6%はコロナ感染拡大後に導入している。
このことから、労務管理ツールを含む人事管理システムもコロナ前から導入は多かったと思われるが、コロナ感染拡大後のテレワーク化により、新たなニーズが生まれているようだ。
テレワーク化で人事管理システムに求められていること
実際のところ、コロナ禍を受け、人事管理システムにはどのようなニーズが生まれているのだろうか。
人事向けクラウドサービス「jinjer(ジンジャー)」を手がける株式会社ネオキャリアのプロダクトデザイン部 部長、松葉 治朗氏は次の3つの機能を挙げる。
株式会社ネオキャリア プロダクトデザイン部 部長 松葉治朗氏
1.入社申請や身上変更申請などのワークフロー機能
「入社手続きや、既存社員の住所変更などの入社申請や身上変更申請をはじめとしたワークフロー機能のニーズが増えました。入社手続きは、通常、郵送で書類をやりとりするのが一般的であるため、テレワークでも出社して郵送対応する必要があります。小さい規模の組織ではそれほど負担ではないかもしれませんが、大規模な組織で採用者が多いと発送業務は負荷の大きい業務です。繁忙期になると特に実感します。そこで一連の手続きをすべて電子化、オンライン化し、郵送手続きなしで進められる、テレワークにも対応できるワークフロー機能が求められています」
2.コンディション管理機能
「従業員のコンディション管理をする機能にもニーズが高まっています。jinjerのコンディション管理機能は、いわゆるアンケート機能です。2週間に一度など定期的に従業員の生の声を聞くことで、これまでの組織サーベイでは見つけられなかった課題を解決できます。
例えば、『仕事はうまくいっていますか?』という設問に対し、虹のかかった快晴、晴れ、曇り、雨などの天気マークから選んで回答したり、上司との関係、体の調子をフリーテキストで回答することができます。これにより、従業員のコンディション管理を細かく行えます。
以前は、コンディション管理自体、その他のバックオフィス系のプロダクトと比較して、後回しになりがちでしたが、コロナ禍では、テレワークなどで従業員の様子が対面とは同じように判断できないため、需要が増加しました」
3.スキルの可視化機能
「従業員の適切な人事配置のためにも、それぞれの従業員が持つスキルの情報を管理することは重要になります。知りたいときに、知りたい情報を1クリックで閲覧できるのは人事担当者にとって効率的です。テレワークといった新しい働き方を導入するのに際して、スキルの可視化は必要不可欠であることが、需要が高まった背景としてあるのではないかと考えられます」
新しい働き方における課題と機能
ところで、jinjerを導入する企業や自治体において、特にコロナ禍の新しい働き方で求められている機能にはどんなものがあるのか。松葉氏によれば、「笑顔打刻機能」と「コンディション機能」のニーズが増えているという。
●コロナ禍で特に求められる「笑顔打刻機能」とは
「笑顔打刻機能」とは、その名の通り、勤怠の打刻を笑顔で行うものだ。jinjerにはPCやチャットワークやICカードなど様々な手段で打刻できる機能も備えているが、この「笑顔打刻機能」は、jinjerのアプリでインカメラを起動し、自らの顔を撮影する打刻方式で、打刻と同時に「笑顔打刻機能」も起動する。管理者は記録された顔写真を見て勤怠状況を把握できる。
「笑顔には40~100点の点数が付けられます。笑顔の点数はAIによって判定されます。平均点数が高い従業員には、表彰制度を設けることで、モチベーションを上げている企業もあります。『笑顔打刻機能』はコロナ以前にもあり、主に接客業を中心とした飲食店から高いニーズがありましたが、コロナ禍によるテレワーク化を受け、顔の見えるコンディション管理の意味でも『笑顔打刻機能』の需要は高まっています」
利用した従業員からは「楽しんで打刻できるようになった」などの声が上がっているそうだ。ちなみに100点を出すコツは、目尻や口角を意識することだと松葉氏。つくり笑顔でもOKで、笑顔で映ることに意味があると述べる。
笑顔打刻やコンディション管理の機能にニーズが高まっていることを受け、テレワークではどんな課題が起きていると推測されるだろうか。
「テレワークにおけるコミュニケーションの希薄さやメンタル管理の重要性が注目されていると考えています。表情が見えない、雑談などができずコミュニケーション不足に陥る。その結果として今まで同じ職場で働いていたからこそ、察知できていた従業員のアラートが、テレワークではどうしても感じづらい状況になってしまいます。
そのため、今後も従業員や組織コンディションを数値化・測定できる仕組みを整える企業が増加すると推測しています」
●人事情報の効率化に役立つ新機能を追加
ところでjinjerには、直近で「マイページ」という新たな機能が追加された。これは簡単に言えば、これまで人事担当者が入力していた従業員の情報を、「マイページ」という各従業員の個別のページに、従業員自ら入力して人事情報を管理するものだ。
「人事情報を常に最新の情報に保つためには、従業員が申請しやすい状況を作ることがもっとも大事です。それがマイページ上で実現できます。
マイページでは、jinjer上で登録されている従業員のプロフィール情報の検索ができる他、従業員自らがプロフィール情報の変更申請ができます。プロフィール情報の表示項目については、企業ごとにカスタマイズすることも可能です。これにより、これまで異動による部署変更や内線番号など人事担当者が情報の変更を行っていた作業がなくなり、申請内容を『承認』するだけで完了するため、人事担当者の工数軽減が見込まれます。
中長期的には「社内ポータル機能」を拡充して人事と従業員をつなぐコミュニケーションプラットフォームとして、リモートワーク下における架け橋としてご活用頂けるようなサービス開発を目指しています」
人事管理システムのテレワークに役立つ機能
他の人事管理システムについても、テレワークに役立つ機能が追加されている。2つのトピックスを見ていこう。
●「ベネワン・プラットフォーム」ワクチン接種管理機能を追加
2021年6月、ベネフィット・ワンの人事管理システム「ベネワン・プラットフォーム」に、新型コロナワクチンの接種管理機能が追加された。ベネワン・プラットフォームは、従業員の人事データや健康情報を一括管理できるシステムで、健診結果・生活習慣などの健康情報を一括で管理できるところに特徴がある。
新しく追加されたワクチン接種管理機能では、管理側が従業員に対してワクチン接種予約の案内や接種会場の共有、問診への事前回答依頼ができる。また従業員の年齢や既往歴等の健康情報から、優先度の高い従業員を抽出したり、接種回数の管理により未接種者に予約のリマインドを行ったりすることも可能だ。
まさにコロナ禍によって必要となった人事管理機能といえそうだ。
●「ジョブカン労務HR」産休手続き機能を追加
DONUTSが手がける、複雑な労務管理を自動化するクラウドシステム「ジョブカン労務HR」に、2021年6月、産休の手続きの機能が追加された。
従来、産休にかかる手続きは長期に渡るため、複雑なスケジュールを対象社員ごとに管理する必要があり、人事労務担当者にとって事務的な負荷が大きい業務の一つだった。そこで、新たに「産休の手続き」にも対応させたことで、業務の効率化を実現。
従業員は出産報告をスマートフォンからでもでき、産前産後休業取得者申出書、変更、終了届を自動作成する。また産休の手続きはスケジュール管理が複雑だが、同機能では時系列ToDoリストが自動生成されるので、人事労務担当者も抜け漏れなく対応ができるという。
テレワーク下においては管理側も従業員側もオンラインで完結できるのはありがたい。
コロナ禍によるテレワーク化で高まった人事管理のニーズを受け、これまでとは異なる機能にニーズが高まっているようだ。今後は、さらに従業員のコンディション管理の機能改善や人事の業務効率化、そして管理側と従業員とのコミュニケーションをスムーズにするアップデートがされていくだろう。
取材・文/石原亜香利
からの記事と詳細 ( テレワークの浸透によってニーズが高まる人事労務管理システムの機能とは? - @DIME )
https://ift.tt/3iWQxIj



No comments:
Post a Comment