米国連邦準備制度理事会(FRB)が7月13日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)(注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、5月後半から6月にかけての同地域における経済活動について、全体的にわずかに(slightly)上昇したが、今後数カ月は成長が鈍化すると予測した。多くの関係者が景気後退の可能性について懸念していると報告した。
同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用は、緩やかに(moderately)増加し、今後12カ月間は同様のペースで増加することが見込まれる。多くの企業が、引き続きあらゆる部門、あらゆる技能レベルにおいて労働者を確保することが困難と報告している。また、多くの企業が、人手不足のために思うように生産能力を発揮できないことを指摘した。全体として、新規雇用と人材維持のために、賃金と福利厚生のコストは急速に増加した。
個人消費は、非必需品への支出に減速の兆しが見られるものの、前年同期に比べわずかに(slightly)増加した。コストの上昇は、一部の小売業者の利益を圧迫しているとの報告があった。自動車以外の小売売上高は、食料品とガソリンの売り上げ増に牽引され、わずかに増加した。自動車の販売台数は、全体的にわずかに増加した。中古車販売台数は増加したが、新車販売台数は依然として低い在庫水準のため、ほとんど変化はなかった。
企業支出は、全体的に控えめに(modestly)増加した。小売業の在庫は小幅な増加となった。製造業の在庫は、多くの企業が不足部品の到着を待つ間、「念のため」の在庫積み増しを行っているため、小幅に増加した。小売業と製造業の関係者は、在庫問題が2023年まで続くと予想している。
製造業の活動は、わずかに(slightly)減少した。サプライチェーンの逼迫と労働力不足により、引き続き生産が抑制された。自動車生産は、マイクロチップなどの材料不足が続き、横ばいとなった。
農業分野に関しては、サプライチェーンの問題が懸念されるものの、投入資材はほぼ予定どおりに農場に届いている。トウモロコシと大豆の価格はやや下落した。鳥インフルエンザによって減少した鶏卵の生産能力が回復し始めたため、卵の価格は高騰した水準からやや下がった。
個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料参照。
(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。
(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。
(星野香織)
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