厚労省・安藤課長 後発品の供給不安の背景に「産業構造的な課題あり」 政府も一体で見直しを決意
公開日時 2022/09/13 04:53◎ジェネリックメーカーのビジネスモデル 企業間の価格競争で赤字品目発生 補填は収載直後製品で
後発品をめぐっては、不採算品目のなかに原価割れしている品目が含まれており、供給不安の引き金を引いたとの見方もある。安藤課長はその背景に、ジェネリックメーカーのビジネスモデルがあると指摘。「企業間では、振り返ってみると市場シェアの獲得に一番メーカーにとって重きが置かれている。企業間で激しい価格競争が発生し、頻回な薬価改定を経た結果、後発品メーカーの個社単位でみると多数の赤字品目が発生している。こういった赤字を補填するためにそれぞれの企業においては、新たに多数の後発品を収載し、収載直後の品目から得られる利益で経営を行う。収載直後の品目からあがってくる利益で赤字の部分をカバーするビジネスモデルが徐々にできあがってきたのではないか」と述べた。
◎「後発品の使用促進を進めたときのようなビジネスモデルでの経営はもはや困難」
安藤課長はまた、「実際問題、収載時の薬価は、コストに照らしてみると、かなり価格自体は相当程度高い。収載直後はそれなりに利益が出るという形になっている」とも述べた。ただ、後発品の数量シェア80%に迫るなかで、これまでのような市場の伸びは見込むのは難しいと指摘。さらに、「開発コスト、原材料価も含めてコストが上がってきている。毎年改定が行われている影響も受け、当初の後発品の使用促進を進めたときのようなビジネスモデルでの経営はもはや困難になってきている」との見方を示した。
◎原価割れ製品「医療現場で重要な医薬品であることも事実」 流通・薬価で議論する
実際に原価割れを起こしている製品については、「そういったもののなかに医療現場においては非常に重要な、安定的に確保を図っていくことが必要な医薬品があることも事実だと思っている」とも述べた。安藤課長は、「産業構造自体を見直していかないとこの問題の本質的な脱却は難しいと考えている」と強調した。
そのうえで、「メーカーだけの問題だというつもりはなく、後発品の使用促進を進めてきたのは政府だ。政府も一体となって持続的な品質確保、安定供給を確保する観点から産業構造を見直すことをこれから検討してかなければいけないのではないか」と強調。産業構造の転換するためにも、「薬価制度を含め、どういうあり方が望ましいのか。流通とも切っても切れない問題だと考えている。流通における様々な課題に対してどういうようなアプローチをしていくのかもあわせて考えなければいけないタイミングにきているのではないか」と述べた。
◎共同開発をめぐる課題認識にも言及 産業構造との関係でどう考えるか議論
ジェネリック業界の構造的課題として指摘される品目数や会社数の多さに絡め、「共同開発」をめぐる課題認識も表明。政府の後発品使用促進策を追い風に市場が拡大するなかで、「共同開発といった形で、開発コストを低くし、多くの企業が参画し、それぞれの企業が実際に販売する仕組みを活用しながら、実際に多くの企業が市場に参入してきたという経過がある。それに伴って品目も多くなるということがこれまで起こってきた」との見方を示した。
実際、ジェネリックメーカーが192社あるなかで、「1~9品目」を製造する企業が91社であるとのデータを提示。「共同開発の仕組みもこれまでメーカー数が増えてきたこともある。このなかには製造を行っていない、販売のみを行っている企業も含まれているのが実態だろう。実態を踏まえて産業構造との関係の中でどう考えていくか議論することが必要な状況になっている」と述べた。また、ジェネリック大手3社であっても先発メーカーに比べて売上規模が小さいことも指摘。「そういうなかで供給問題が起きるとどうしても弱いということもあるのだろうと考えている」と述べ、ジェネリックメーカーの企業規模の小ささにも課題認識を示した。
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