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Friday, January 5, 2024

被災地への医薬品供給、「奥能登」が課題 卸各社の拠点復旧も道路隆起・陥没で運搬困難【無料公開】 - 日刊薬業

 1日に発生した能登半島地震では、医薬品卸各社が医薬品の安定供給に向けて対応に尽力している。被災地にある拠点では正月返上で倒れた商品棚の復旧や、破損した医薬品の補充に取り組み、4日から顧客へ医薬品を出荷できる体制の構築につなげた。一方で、卸関係者への取材を総合すると、地震の震源地となった能登地方の石川県輪島市や珠洲市をはじめ半島北部の「奥能登」については、4日午後時点では陸路による交通アクセスが困難なため、医薬品を円滑に供給できる状況とはなっていないもようだ。

●「災害対策車両」投入も視野

 バイタルケーエスケー・ホールディングス(HD)の持分法適用会社の医薬品卸ファイネス(本社=金沢市)では、2日に災害対策本部を立ち上げて、被害が生じた拠点の復旧作業に尽力。特に被害が大きかった七尾支店では、自宅が被災して出社できない社員もいたため、他支店から応援部隊も派遣して医薬品の補充など必要な作業に取り組み、4日から能登地方にも出荷できる体制を整えた。

 一方で、特に輪島市や珠洲市については、道路の隆起や陥没によって医薬品を運ぶ車両の通行が難しい状況にあるという。実際、同社では道路の隆起によって車両のタイヤがパンクする事例が、被害が比較的少ない傾向にある奥能登以外の被災地でも発生しており、今後は同HDグループ内のつながりで融通してもらった悪路を走行できる4駆の特殊車両である「災害対策車両」の投入も視野に入れながら、奥能登へ医薬品を供給できるよう対応を進めていく構えだ。

 避難所で診療に当たっている医師からは、発熱患者への対応でインフルエンザウイルス検査キットや解熱鎮痛剤が必要との声が上がっているともいい、製薬企業と協力しながらこうした現場からの声に応えていく方針。

●水や毛布など救援物資支援の動きも

 4大卸各社も被災地であっても事業の継続に影響がないことを4日までに相次いで発表した。スズケンは、最も被害の大きかった七尾支店では大半が商品棚から落下するなどの被害が生じたものの、4日までに被災地でも医薬品を出荷できる体制を整えた。ただ、ファイネス同様に道路状況を理由として奥能登への医薬品の供給は困難になっているという。水やポリタンク、毛布などが被災地の拠点に届いているといい、顧客に対してこうした物資を通じた支援を開始している。

 メディパルHDも奥能登を除いて医薬品を供給できるようになっているといい、道路を迂回するといった方法も含めて奥能登へ医薬品を供給するための検討を進めているという。断水している事業所の社員を支援するために水やポリタンクの配布も行っている。

 東邦HDは、被災地の道路状況について、通行止めになっていない地域であっても陥没や亀裂が生じている場合があるといい、運転には細心の注意を払って業務を行っていると説明。グループ会社の北陸東邦では、顧客や救護所に対して 水、簡易トイレ、毛布、タオルの配布を始めているという。

 アルフレッサHDは、石川県に本社を置くグループ会社の明祥は4日から営業を開始していると説明。被災した医療機関への復旧支援にも入っているといい、救援物資についても供給できるよう準備を進めている。

●行政や自衛隊とも連携して対応

 厚生労働省は、同日に能登半島地震への対応に関して関係団体を集めた連絡会議を開催。医薬品の供給に関して、石川県薬業卸協同組合と協力し、卸が陸路で輸送を行っていることが紹介された。閉会後に取材に応じた日本医薬品卸売業連合会の宮田浩美会長は、行政や自衛隊とも連携しながら、奥能登など被災地に医薬品を安定的に供給するための対応を進める方針を示した上で、「熊本地震はじめこれまで卸として災害で被災した際でも医薬品を届けるという思いを持って対応してきた」とし、今回の災害でも引き続き対応に当たる姿勢を示した。(加藤 祐樹)

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