コバヤシ(東京都台東区)は、食品容器や青果物向けのパッケージの製造や販売などを行う総合プラスチックメーカーだ。
このうち容器事業部では、納豆や豆腐、デザート、カップ麺などの食品容器の製造と販売を手掛けている。特に、納豆と豆腐の容器が売れ筋となっており、トップシェアを誇る。
品質面や供給面を他社との差別化ポイントにしており、365日休みなく容器を供給するのはもちろん、容器にダメージが入らないよう、慎重に扱うよう心掛けている。
コバヤシによると、食品容器では、環境に配慮した商品に対するニーズが高まっているという。
納豆容器では、環境対応製品の一つとして、PSP納豆容器の重量を同社の現行品と比較して約5%軽量化することに成功した「SL(スーパーライト)」シリーズを2023年から上市した。同シリーズに置き換えることで、樹脂使用量やCO2排出量の削減にも貢献できる。シートメーカーと共同開発した。
〈「SL」を汎用品だけでなく受注品にも展開予定、今後は紙製の食品容器にも挑戦〉
コバヤシは「SL」シリーズの開発について、「シート生産時に発泡させるため、気温の変化を受けやすい点が難しかった」と振り返る。通年で使えるか確認するために、約2年かけて検証・評価を行ったという。さらに、「納豆は容器内で発酵させて製造することから、お客様のラインテストに重点を置いた」と話す。
開発で重視したのは容器の強度だった。強度がなるべく落ちないようなシートグレード、成形方法を模索し、完成させた。
納豆メーカーからの反応も良好だ。これまでも納豆容器は、軽量化を進めてきた歴史があり、これ以上の軽量化は難しいと言われていた中で実現させたことが評価されているようだ。
現在、汎用品を「SL」シリーズに切り替える提案を進めている。同シリーズを容器事業部の柱に位置付け、今後は汎用品以外にも展開していく考えだ。「納豆容器はお客様の製造ラインに合わせた専用形状が多いため、それぞれに軽量化を図っていく」としている。
最近では、BtoC向けにテイクアウト用容器の開発や販売に注力した。現在、「Copotte」(コポット)、「Eco Deli」(エコデリ)、「Opalay cup」(オパレイカップ)を展開している。定番商品になるよう育成していく。
このうち、汁物を入れられる「コポット」は見た目にもこだわり鍋形状で、カラーも3色そろえる。「SNS映えを意識し、おしゃれに楽しめるようにした」と話す。汁漏れしにくく、容器同士が重ねられ横ずれしにくい形状となっている。
ボックスタイプの「エコデリ」は、トウモロコシの澱粉を配合したことで、石油資源を約60%削減した。2サイズ展開。簡単に潰せるため、ゴミを減容できる。
今後の目標は、市場でニーズが高まっている紙カップの製造・販売事業を開始する。「プラスチック容器で養ったノウハウを活かして、新たなジャンルに挑戦していきたい」と話す。
〈大豆油糧日報2024年1月29日付〉
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