遠隔地メガソーラーから長期間・固定価格で電力供給
株式会社NTTデータグループ(以下、NTTデータグループ)が、ソーラーパネルなどの新設が難しい都市部の施設での再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入に、「オフサイトフィジカルコーポレートPPA」を利用した取り組みを発表した。これによって、遠隔地メガソーラー発電所から同社のデータセンターに再エネ電力の供給を行う。
企業が再エネ電力を小売電気事業者から長期にわたって電力を購入する契約に「コーポレートPPA」(PPA:Power Purchase Agreement)があるが、それには、需要地内で太陽光発電を行う「オンサイト」と、需要地以外の遠隔地で発電・供給する「オフサイト」の2形態がある。
今回NTTデータグループが採用したのは「オフサイトコーポレートPPA」(図1)。このオフサイトコーポレートPPAにも、「フィジカル」と「バーチャル」の2形態がある。
フィジカルは、小売電気事業者が「物理的な電力と環境価値をセットにしたメニュー」を需要家に供給するもの。この形態は、固定価格による電力コストの安定化もメリットとなる。また送電は、電力系統を介して行う(図2)。一方、バーチャルは、電力と切り離して「環境価値のみ」を需要家に供給する。
今回発表された電力の需要地は、東京・三鷹市にあるNTTデータグループの三鷹データセンターEAST。電力は、株式会社プロメディア(以下、プロメディア。株式会社アドバンスの関連会社)が埼玉県と栃木県に新設する太陽光発電所で発電した電力を、東京電力エナジーパートナー株式会社が2024年8月以降、三鷹データセンターEASTに供給する(図3)。
プロメディアが新設する太陽光発電所の発電出力は合計3,700kW(3.7MW)で国内最大級。三鷹データセンターEASTへは年間440万kWhが供給され、同センターの年間使用電力量の約20%相当をまかなう。これにより年間約1,580トンのCO2排出量の削減が見込まれている。国内では、オフサイトフィジカルコーポレートPPAによってデータセンターに送電する例はまだ少ない。
都市部オフィスビルでの利用例も
事業地内に発電設備を置くオンサイトコーポレートPPAの場合、首都圏のデータセンターが多いNTTデータグループでは、十分な発電を行うための日射量や敷地の確保が難しく、また建設する場合には都市部では多額のコストを必要とするなどの課題を抱えていた。今回のオフサイトフィジカルコーポレートPPAという形態であれば、データセンターに発電設備を建設することなく、かつ安定的なコストで長期間、再エネを導入できる。
同様に、都市部のオフィスビルでもオフサイトフィジカルコーポレートPPAの導入例もあり、今回のような手法の活用は今後も進むだろう。
図1 オフサイトコーポレートPPAの定義
出所 環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ 2021年3月作成・2022年3月更新版、「オフサイトコーポレートPPAについて」
図2 オフサイトコーポレートPPAの形態:フィジカルとバーチャル
出所 環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ 2021年3月作成・2022年3月更新版、「オフサイトコーポレートPPAについて」
図3 NTTデータグループの取り組みスキーム
出所 株式会社NTTデータグループ ニュース、報道発表2024年3月1日、
データセンターで遠隔地メガソーラーの再エネ電力を使用開始
参考サイト
株式会社NTTデータグループ ニュース 報道発表 2024年3月1日
データセンターで遠隔地メガソーラーの再エネ電力を使用開始
東京電力エナジーパートナー株式会社 プレスリリース
NTTデータグループとオフサイトフィジカルコーポレートPPAを締結
環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ 2021年3月作成・2022年3月更新版
「オフサイトコーポレートPPAについて」
からの記事と詳細 ( 「オフサイトフィジカルコーポレートPPA」で再エネ電力を供給! | 再生可能エネルギー | スマートグリッドフォーラム - スマートグリッドフォーラム )
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