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Thursday, September 3, 2020

【論風】多発する自然災害と農業 食料安定供給に危機感を - SankeiBiz

 今年の夏は酷暑が続き、8月にかけ、九州から東北まで、甚大な豪雨被害が発生した。新型コロナウイルス禍は、相変わらずまったく出口が見えない。今年4~6月期の国内総生産(GDP)は年率換算マイナス27.8%と戦後最悪。これほど住みにくい、命のリスクが高い社会を、一体、誰が予見できたか。しかしこれが現実だ。(ナチュラルアートCEO・鈴木誠)

 毎年、数千億円単位の、甚大な農林水産被害が頻発している。今年7月の豪雨被害額は、1700億円以上。昨年の台風19号被害額は、3500億円弱。一昨年の北海道胆振東部地震と豪雨の被害額は、4500億円以上。残念ながら、この先も繰り返されることは間違いない。こうした影響で農作物の価格は高騰した。レタス1玉が500円前後と、例年の2~3倍になり、他の野菜も値上がりした。

 農家の減少に拍車

 長雨、日照不足、酷暑が原因だと、あたかも一時的な現象のように報道されているが、より深刻なのは、国内農業生産基盤の崩壊が、水面下で加速度的に進んでいることだ。被災するたびに、多くの農業者は経営破綻や廃業に追い込まれ、ただでさえ農業者数は減少傾向にあるが、災害によって拍車がかかる。

 海外でもさまざまな天災や人災が発生し、主要穀物である小麦粉やトウモロコシは不足し、食料価格が高騰している。並行して、各国の食料輸出制限も進んでいる。100億人に迫る世界の人口爆発も背景に、食料不足は深刻になる一方だ。食料輸入依存度の高い日本は、世界の農業や食料事情を、より敏感に把握する必要がある。

 日本はすでに、食料価格が高騰する、食料インフレの入口にいる。主役級の肉や魚ではなく、これまで脇役の野菜を高くて買えない、そんな時代が目前に迫っている。世界の食料基地と言われた中国は、いまや食料自給率80%程度と、どんどん低下している。中国は既に、食料輸出国から輸入国に転換した。中国の食料輸出力低下は、日本の食料事情悪化に直結する。

 国内の食料事情、地方経済や環境保全、国民の健康など、あらゆる観点から、農業をはじめ一次産業の強化は、国家的重要課題であり、待ったなしであることは、繰り返し繰り返し述べてきた。新しい社会構造が求められている。にもかかわらず、国家的な危機意識や積極性を感じない。政治的リーダーシップも欠如している。

 適地の見極めも必要

 明治から昭和にかけて欧米列強に追いつけ追い越せと励んだ、坂の上の雲を追い求めるような社会構造の時代はすでに終わっている。農家も、農業のあり方を、抜本的に見直す時期だ。農業は、先祖代々の農地に立脚して営まれてきた家業であった。今後は、ハザードマップを理解し、高潮・河川氾濫・土砂崩れなど、リスクの高い地域は避け、適地を見極める必要がある。

 風速70メートル級にも対応可能なパイプハウスなど新技術導入も不可欠だ。新たな人材の受け入れもしかりだ。

 抜本的な構造改革を進めなければ、日本も世界もいずれ破綻する。食料は社会の礎であり、またすそ野の広い産業として成長性もある。

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