新型コロナウイルス感染症(COVID19) ワクチンの緊急使用許可(EUA)の付与が始まる中、接種を望む世界の何十億もの人々に製品を配布するレースが始まっている。これは投資機会を生み出しており、トレーダーはワクチンの世界的配布に関与する企業を見極めている。
ワクチンには複数のタイプがあることから、流通網には航空会社から冷凍庫や薬瓶、使い捨て針のメーカーまで何百もの企業が絡む。世界中の人々に接種するために働く多数のスタッフも関わる。
世界はこうした流通上の難題をかつて経験したことがなく、「これまでで最大かつ最も複雑な物流の実習」 と呼ばれる。承認に近づいているワクチンごとに異なる課題があり、米ファイザーと独ビオンテックが開発した製品には超低温の物流管理が必要。英アストラゼネカなどのワクチンを途上国に供給する際にも平凡だが同様に困難な課題がある。
世界的なワクチン供給に果たす役割にトレーダーが注目する業界や企業の一部を以下にまとめた。
低温貯蔵
全てのワクチン候補は一定の保冷が必要であり、 ファイザーの製品はセ氏マイナス70度で保管する必要がある。
HSBCホールディングスのアナリストは先月のリポートで、「先進国市場では努力を要するが克服できないものではない」と指摘。「低温貯蔵施設の準備は重要な要素になる」との見方を示した。
このため冷凍庫関連株は最も人気な投資先の1つとなっている。韓国では、政府が4400万回分を確保したと発表したのを受け冷凍庫メーカーの大韓科学とイルシンバイオベースが8日に急伸。年初来では共に350%強の大幅高となった。日本の家電・保冷庫メーカーのツインバード工業は年初来約300%の急騰だ。インドではスノーマン・ロジスティクスが52%高。
ドイツの断熱製品メーカー、 バキュテックは年初来195%高。「世界の主要製薬会社」にワクチン用断熱容器を供給する契約が好感された。
米国ではトレイン・テクノロジーズが年初来36%高。キャリア・グローバルは3月にニューヨーク証券取引所に上場して以来3倍強に値上がりした。シティグループのアナリスト・チームは12月3日、両社が「ワクチン供給用のコールドチェーン需要の恩恵を受ける良い位置にある」と指摘した。
流通
ワクチンに必要なのは保冷設備だけではない。輸送も極めて大きな仕事だ。フェデックスとユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)は設備や冷凍トラックを増強しているが、 既に配送需要の急増への対応に苦慮している。 こうした低温流通体系がいつまで必要とされるかもまだ不透明だ。
HSBCはまた、トルコ航空やエールフランス・KLM、ルフトハンザ航空などの航空会社も流通チェーンに「深く関与する」見込みで、既に好調な貨物ビジネスを支えると予想した。ただ、旅客数の落ち込みを克服するほどではないと付け加えた。
ワクチン輸送の最終段階を担うトラックの需要も高まる可能性があり、パッカーやナビスター・インターナショナルといったトラックメーカーや、エンジンメーカーのカミンズなどに追い風になるとUBSグループのアナリストは分析した。
CVSヘルスやウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスといった米国の薬局チェーンは、ワクチン投与に関連する政府との 提携から恩恵を受ける見通し。両社株は10月30日の提携発表から20%余り上昇。モルガン・スタンレーは、卸売業者などに85億ドル(約8800億円)の商機を見込む。
原題:
A Stock Trader’s Guide to the Global Covid Vaccine Rollout (1)(抜粋)
からの記事と詳細 ( 新型コロナワクチンの世界的供給開始、株トレーダーに投資機会到来 - ブルームバーグ )
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