西部ガスは4日、北九州市と福岡都市圏を結ぶ2本目のガスパイプライン「九州北部幹線」(延長60キロ)の開通式典を福岡県新宮町の的野ステーションで開いた。パイプラインの複線化は供給の安定と強化につながる。同社は、ひびきLNG基地(北九州市若松区)にガス生産施設を集約する一大プロジェクトの完成を、営業の攻勢につなげたい考えだ。(中村雅和)
幹線建設は、平成22年に着工したひびきLNG基地と対をなす事業。ひびき基地は北九州工場(同区)、福北工場(福岡市東区)を統合し、10万トン超の大型LNGタンカーの受け入れ態勢の整備や貯蔵能力の拡大を狙った。
ガスの小売り自由化で地域独占が崩れていく中、輸入コストを削減し、さらに大口購入によって単価を引き下げることで、ガスの価格競争力向上を目指した。今年9月に急逝した田中優次相談役は「大きな器がないと大口営業はできない」と構想実現に熱心だった。基地の完成後は、精力的に大口需要先の開拓を進めていた。
ただ、ひびき基地への一本化で、輸送体制を改革する必要が生じた。2工場体制の下で北九州と福岡両地域を結ぶ「福北幹線」の役割は両地域間での融通や沿線向けのガス供給だった。それが一本化により、福岡地域にガスを送る大動脈へと変わった。このため、事故や災害時に、福岡地域への供給が途絶えるリスクを大幅に減らすには複線化は不可欠だった。
九州北部幹線は平成26年2月に着工した。地下1・2メートルに、直径50センチメートルの鋼管を埋設していく。ルートの多くは道路を通る。車線を封鎖するなど大掛かりな工事が続いた。また、九州北部を代表する河川、遠賀川地下でのトンネル掘削工事は、河口付近ということもあり地盤が複雑で、屈指の難工事だった。
道永幸典社長は「会社は多角化を目指しているが、根底は都市ガス事業だ。自由化で激しい競争しているが、わが社のアドバンテージは、保安と安定供給だ。その力が高まったことに意義がある」と強調した。
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