欧州連合(EU)は、域内の工場でつくられるコロナワクチンの輸出管理を強化する。EUの行政を担う欧州委員会が29日、ルールをまとめた。域外への出荷は許可制とし、数量や仕向け先の報告を義務づける方針。先行投資して確保したワクチンが他の国や地域に渡るのを防ぐ狙いだ。
欧州委は加盟27カ国を代表して製薬会社と交渉し、開発段階から資金供与して6種類のワクチン計約23億回分の購入枠を確保している。だが、契約通りに供給されない事態が起き、英アストラゼネカの「英国優先」の対応も明らかになった。不信感を募らせたEUは「我々のワクチンの動向を知りたい。供給を確保する契約を結んでいる以上、知る権利がある」(高官)と対策に乗り出した。
ベルギーやドイツなどEU域内の工場から域外にワクチンを輸出する場合、関係国の政府に報告したうえで許可を得る仕組みを想定。各国政府や欧州委がEUとの契約に照らして問題がないかを点検できるようにする。問題があると判断すれば、輸出の差し止めもありえる。人道目的での輸出は対象外だという。
EUはこれまでに2種類のワクチンを承認し、昨年末から接種が始まっている。ワクチンの供給量は順次増えていくとみられるものの、国や地域ごとに争奪戦の様相も帯びている。輸出管理の強化は3月末までだが、状況次第では延長もありえるという。
キリアキデス欧州委員(保健衛生担当)は「契約の履行を明確にし、輸出に透明性を持たせたい。市民を守るために、EUは必要な行動をとる」と強調している。(ブリュッセル=青田秀樹)
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