自動車各社が生産停止を余儀なくされ、半導体チップメーカーとの関係悪化をもたらしている半導体不足の背景には、近視眼的な計画とサプライチェーン(供給網)の複雑さ、在庫を低く抑えるという自動車業界の慣例があることが分かった。
関係者によると、発端は1年ほど前に遡(さかのぼ)る。新型コロナウイルスの感染拡大で自動車需要が落ち込み、自動車向け半導体バイヤーは注文を削減した。ところがこれら企業が2020年末に向けて供給を増やしたいと思ったときには、台湾積体電路製造(TSMC)などの半導体受託生産業者は既に、外出自粛中の消費者を狙った電子機器端末の需要拡大に対応するのに忙殺されており、生産能力の確保が難しくなったという。
半導体業界、自動車・同部品業界の双方は、公には問題の解決は可能だとしながらも、非公式には互いを非難し合っている。自動車業界の低在庫志向が製造計画に悪影響を与えていると半導体業界が指摘するのに対し、自動車・同部品業界は半導体業界がもたもたしていたため、サプライチェーンが混乱に陥ったと主張。
自動車業界はまた、半導体業界が売上高と利益の大部分を占める消費者向け電子機器を優先していると不満を漏らしているのに対して、半導体業界側は特別扱いはしていないと反論している。
自動車が一段と高知能化し、技術的に複雑化するにつれ、フォード・モーターやフォルクスワーゲン(VW)といった金属加工が伝統的強みの自動車メーカーにとって、リスクが顕在化した。ソフトウエアと半導体の専門知識がより豊富な自動車メーカーはこうした潮流を乗り切りやすいが、これら伝統メーカーの場合は供給面の問題に潜在的に見舞われやすい。
デトロイト地域に本拠を置くサプライチェーン調査会社エルム・アナリティクスの創業者、トー・ハフ氏は、自動車メーカーあるいは部品製造メーカーを念頭に、OEM(相手先ブランドによる生産)業者が「過大な生産調整はしなかったと主張したとしても、先行きを十分考えていなかった可能性はある」と指摘。これらメーカーは「『リーン生産方式』に非常に固執しており、在庫を低水準に保ってコスト効率を高めている」と分析した。
欧米の自動車業界は半導体供給不足が判明した時点で、台湾当局に窮状を訴え、半導体の安定供給で支援を要請した。(ブルームバーグ Debby Wu、Gabrielle Coppola)
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