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Sunday, May 30, 2021

地方移住・二拠点居住したいエリアランキング、コロナ禍で仕事と暮らしのニーズが激変 - Esquire

暮らし × 仕事=生き方
「働き方改革」から「クラシゴト改革」へ

「企業に勤務しながら副業を持ち、東京・京都・香川で3拠点生活」

――そんなライフスタイルを実現している人がいます。

 其田有輝也さん(20代後半)は、大学卒業後、東京の民間気象予報会社に入社。しかし、学生時代から抱いていた「フォトグラファー」になる夢を諦め切れず、「副業」として撮影の仕事をしたいと考えました。

 当時、勤務先企業では副業が認められていませんでしたが、其田さんは約半年かけて会社と交渉。「副業によって得られるスキルを会社に還元する」と訴え、承諾を得たのです。そして、週末のみ、東京および京都を拠点に、フォトグラファーとして活動を開始しました。

 もともとは週5日、オフィスに出社する勤務形態でしたが、コロナ禍でテレワークが導入されたことを機に、さらに拠点を増やしました。同じくフォトグラファーである妻が暮らす香川県高松市です。都市部ではなくあえて田舎を選び、築100年の古民家を購入したのです。

photographer are sitting look the sunset
※写真はイメージです。

Pakorn_KhantiyapornGetty Images

 現在、平日の日中はテレワークで本業の業務を行い、朝・夕の時間と土日にフォトグラファーとして活動。其田さんは、都市部の会社勤務で安定収入を確保しつつ、「やりたい副業」+「田舎で過ごす時間」によって、心豊かな暮らしを実現したのです。そして、フォトグラファーとしての活動を通じてインプットが増え、それが本業にもプラスに生かせているそうです。

 近年、副業解禁が進み、コロナ禍の影響でテレワークが普及。働き方が変化する中、其田さんのように、「暮らし」や「働き方(仕事)」を柔軟に変え、より自分らしい生き方を選ぶ人が増えています。
私たちはこの動きを「クラシゴト改革」と名付けました。

 コロナ禍以降、テレワーク中心の働き方にシフトし、「クラシゴト改革」を果たしている事例は複数見られます。自然に近いエリアに移り住み、朝・夕にサーフィンやトレイルランニングなどの趣味を満喫する人、九州や海外へ出向いて「ワーケーション」を行う人、子どもの夏休み期間中、ずっと長野の実家に滞在する人など……。

 テレワークによって「時間」「場所」の裁量が広がったことを機に、生き方そのものをデザインし直す人が増えているのです。

都心50~100キロ圏内で
「二拠点居住」「移住」先の
物件を探す人が増加

 クラシゴト改革の動きは、実際のデータにも表れています。

 私たちが2020年5月に実施した調査(※1)において、「今後も(コロナ禍が終息した後も)引き続きテレワークを行う場合、今の家から住み替えを検討したいですか」と尋ねたところ、4人に1人が「検討したい」と回答しました。

 また、二拠点や都会以外で生活する「デュアルライフ」の意向を持つ人は、コロナ禍以前(2018年11月)は14%であったのに対し、コロナ禍(2020年7月)では27.4%へと倍増しました。

 

(※1)「新型コロナ禍を受けたテレワーク 住まいの意識・実態調査」2020年、リクルート調べ

クラシゴト,転居

ダイヤモンド・オンライン編集部

 実際に、物件を探す行動を起こしている人も見られます。コロナ禍以降、『SUUMO』に掲載されている物件の閲覧数が、特定の地域で大きく伸びているのです。

 2020年1月と8月で比較したところ、中古マンションの閲覧数が増えたエリア・トップ5は、「神奈川県三浦市」「神奈川県逗子市」「横浜市瀬谷区」「千葉県成田市」「神奈川県葉山町」。中古戸建てでは、「千葉県富津市」「千葉県館山市」「栃木県那須町」「千葉県木更津市」「千葉県美浜区」が物件閲覧数を大きく伸ばしています。

 このデータから、都心から50~100キロ圏内で、「海が近い」「景観が美しい」「リゾート地」といった特性がイメージしやすいエリアが、移住先・二拠点居住先として注目を集めている実情が見てとれます。

ダイヤモンド・オンライン

ダイヤモンド・オンライン編集部

 さらに2021年3月には、東京都民を対象に「地方移住・二拠点居住への関心度」を調査しました。

 地方移住・二拠点居住の関心について尋ねたところ、「関心がある」と回答した人は36%に上っています。また、関心がある人のうち、「新型コロナウイルスの感染拡大によって、地方移住・二拠点居住の関心が生まれた・高まった」という人が52%を占めました。特に20代、ライフステージ別では末子が小学生未満のファミリー世帯で関心が高まっています。

 この調査では、東京都民が「移住・二拠点居住したいエリア」も明らかになっています。

 1位は神奈川県の鎌倉・三浦エリア、2位は東京都の八王子・奥多摩エリアと、首都圏にもアクセスしやすい地域。3位以下は、沖縄県の離島・諸島エリア、北海道の石狩エリア、静岡県の伊豆エリアが続きます。

ダイヤモンド・オンライン

ダイヤモンド・オンライン編集部

「テレワークOK」の企業で
働きたい意向が高まる

 このように、住まいに対する考え方が変わった背景には、「働き方」に対する意識の変化があります。コロナ禍以降、転職検討中・転職活動中の人を対象に行った調査(※2)では、「新型コロナウイルス禍を受けて、自分の将来のキャリアを見つめ直したり考えたりしたか?」という問いに対し、58.8%の人が「はい」と回答しました。

 特に「テレワーク」を経験したことで、働く場所・時間の裁量権を持てる生活のメリットを実感した人が多数。転職先を検討するにあたり、「テレワークが認められている」ことを重視するようになっています。

 

(※2)「新型コロナウイルス禍での仕事に関するアンケート」 2020 年、リクルート調べ

ダイヤモンド・オンライン

ダイヤモンド・オンライン編集部

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ダイヤモンド・オンライン編集部

 このように個人が「クラシゴト改革」へ動き始めているのに対し、企業側はどう対応すべきでしょうか。人材の獲得、そして従業員が個の能力を最大限に発揮できるようにするためには、個人のニーズ・ウォンツを尊重し、柔軟に対応する必要が出てくるでしょう。

 新たな人事制度を設ける際には、最初からきっちりと固めて全体に一斉導入するのではなく、一部で「お試し」でスタートすることをお勧めします。

 実際、ある企業では、「出社なしでどこまでできるか」にチャレンジするチームを設け、フルテレワークの実証実験を行っているようです。フィジビリスタディから始め、生産性の変化についてしっかり検証するステップを踏んで導入していくと、いいのではないかと思います。

 また、地方には「ワーケーション」の誘致に積極的な自治体もあります。ワーケーションのお試しスペースや宿泊施設などを整備し、都市圏のビジネスパーソンを受け入れています。こうした施設・仕組みを活用することで、他社の人たちとの交流や情報交換も生まれ、それが自社のビジネスに生かせる可能性もあるでしょう。

asian young man using laptop on tropical vacation, copy space
※写真はイメージです。

quavondoGetty Images

 私自身も旅先での出会いが思いがけず仕事につながった経験があり、このことを実感しているのですが、日常の行動範囲から出ることで新たなインプットが得られるものです。

 総務省などで、ワーケーション支援を行っている自治体を紹介するサイトなどもありますので、注目してみてはいかがでしょうか。

 従業員にとって働く時間・場所の自由度が高まれば、エンゲージメントの向上につながり、採用力も高まる可能性があります。企業もこうした新たな潮流をより意識する必要に迫られているのです。

※この記事は2021年5月26日に公開されたものです。

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