新型コロナウイルスのワクチンについて、来月前半の供給量が示され、関西では、大阪市など一定量の在庫があると見なされた自治体で人口に応じて配分される量が１割減りました。
削減分は各府県の裁量で分配できる「調整枠」とされ、ワクチンが不足している市町村などに分配されることになります。
厚生労働省は、来月２日と９日の週に全国の市区町村に配送するあわせて１万箱＝１１７０万回分のファイザーのワクチンについて、１２日夜、市区町村ごとの配分を通知しました。
このうち８０００箱は１２歳から６４歳の人口に応じて割り当てる「基本計画枠」で、今回からは、▼今月４日までに配送したワクチンの量と、▼今月８日時点の「ＶＲＳ」＝ワクチン接種記録システムのデータを照らし合わせ、一定量を超える在庫があると見なした自治体などについて、配分するワクチンの量を減らしました。
大阪府では、▼大阪市で１６４箱だったものが１４８箱に減ったほか、▼吹田市では２３箱が２１箱に、▼茨木市では１７箱が１６箱に、▼八尾市では１６箱が１５箱に、▼寝屋川市では１４箱が１３箱にそれぞれ減りました。
また、そのほかの県では、▼和歌山市が２１箱から１９箱に、▼奈良市が２０箱から１８箱に、▼兵庫県西宮市が２９箱から２７箱に、▼尼崎市が２７箱から２５箱にそれぞれ減りました。
削減した分は各府県の裁量で分配できる「調整枠」とされ、ワクチンが不足している市町村などに分配されることになります。
【大阪市 供給量の削減理由と今後の見通し】。
＜「ＶＲＳ」への入力遅れ＞。
今回、供給量が削減された理由について、大阪市は、「ＶＲＳ」＝ワクチン接種記録システムへの入力の遅れをあげています。
このシステムは、接種券に印刷された１８桁の数字を専用の端末で読み取ると、いつ、どこで、誰が、どのワクチンの接種を受けたか、登録できるものです。
大阪市が各区で行う集団接種では市のスタッフが入力してきましたが、個別接種を行う１７００の医療機関はほとんどが「人手が足りない」などとしてシステムの利用を希望しませんでした。
このため、「ＶＲＳ」のデータには、個別接種の記録がほとんど含まれず、結果として実際よりも在庫があるようにみえたとしています。
しかし、国が在庫量に応じて供給量を決める方針を示したことを受けて、今月から週に１度、医療機関から接種券を回収し、システム入力を代行しているということです。
現在、３２万枚を回収して作業をしていますが、入力が済んだのは半分程度で、大阪市は入力を急ぎたいとしています。
＜今後の見通し＞。
これまで大阪市は、今後、供給されるファイザーのワクチンは、１週間あたりおよそ９万回分と想定していました。
しかし、国の通知どおり、人口に応じた「基本計画枠」の配分が１割、削減されると、週あたり８万回程度に減るのではないかとみています。
すでに国からの供給量は大幅に減っていて、大阪市は、▼個別接種の１回目については１２日から一時、停止としているほか、▼２４の各区で行ってきた集団接種は来月１日でとりやめるとしています。
一方、個別接種の１回目は今月１９日から再開し、別のワクチンを使う大規模接種も継続する方針です。
さらに供給量が減ると接種の進み具合は遅くなるとみられますが、大阪市は、希望者全員の接種は予定どおり１１月までに終えたいとしています。
【調整枠は人口と新規陽性者数比で】。
大阪府は、都道府県の裁量で配分ができるワクチンの「調整枠」について、人口や新規陽性者の人数などを参考にして、府内の市町村に配分するとしています。
来月上旬に大阪府に供給される分の「調整枠」は１２８箱となる見込みで、さらに下旬にも追加される見込みです。
大阪府は、このうち、▼半分は１２歳以上の人口やこれまでの供給量を参考に、▼残りの半分は「第４波」での新規陽性者の人数を参考にして、府内の各市町村に配分することを決めました。
これについて大阪府は、「感染が広がりやすい地域に、よりワクチンを配分できるよう考慮した」としています。
また、自治体のワクチンの在庫量について、国が「ＶＲＳ」＝ワクチン接種記録システムのデータを参考にしていることから、大阪府は、先月、市町村に対しＶＲＳへの入力作業を早めるよう通達を出しました。
自治体によっては、作業の遅れで「ＶＲＳ」のデータと、実際の在庫量とは隔たりがあるとしていますが、大阪府は、今後は、こうした隔たりは解消されるのではないかとしています。
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