日本の様々な現場で活躍する外国人労働者。2019年4月に出入国管理及び難民認定法が改正され、日本における外国籍人材の受け入れが拡大しており、地方創生のためにもニーズが高まっている。しかし、その真っ只中に新型コロナウイルス禍となってしまった。
渡航制限の影響で、現在もなお海外からの外国籍人材の採用を見送らざるを得ない企業も多い状況だが、人材の約7割が日本在住であるバイリンガルのための転職・求人情報サイト「Daijob.com」登録者の中から、特に動きの大きかった「IT人材」に絞って、日本国内の人材ニーズを調査した。詳細は以下の通り。
「IT関連」職種は、首都圏以外の多くの地域で企業からのスカウト数が増加中
企業からのスカウトを受けた総数を基準に見ると、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪のような大都市での、人材ニーズがやはり多くなっている。ただし、増加率を基準に見てみると、スカウトを受けた人材の総数が100人以下だった地域で、コロナ以降は特に増加率が上がっている傾向が見られた。
IT教育が盛んなミャンマー国籍者のニーズが急増
国籍別では、フィリピン、ベトナム、ネパール、ミャンマー、スリランカ、タイ国籍の人材で増加率が高くなっている。これらの国々は、特に2000年代後半から日系企業のオフショア開発先として人気が高く、IT教育にも熱心な国々だ。
また、増加率が突出していたミャンマーは、「現役IT技術者数に対するIT分野卒業者数の割合」において92カ国中1位を獲得しており、現役IT技術者の約2.5倍ものIT卒業者が年間で排出されている。さらに、日本語学習の人気も高いことから、IT技術と日本語力の両面においてスキルの高い人材が増えているため、企業からのスカウト受信者が急増したと推測できる。
年代別、年収別の企業スカウト受信者数は大差なし
年代別の企業スカウト受信者数は、どの世代でも1.5倍以上の増加となった。年収別に見ても、全体的に1.4倍以上となっており、特に大きな差がある年収層はなかった。
語学力別では、日本語「日常会話レベル」の増加率が最多
語学力別では、日本語「日常会話」レベルが2倍に増えており、最も増加率が上がった。コロナ以前は、「日常会話」「ビジネス会話」「流暢」レベルの数に大きな差はなかったが、コロナ以降は「日常会話」レベルのニーズが高まったようだ。英語レベルにおいても総数は少ないが、やはり「日常会話」レベルが1.9倍と、英語レベルの中でも最も増加率が高い結果となった。
調査結果を受けて~ヒューマングローバルタレント株式会社 代表取締役/一般社団法人外国人雇用協議会 理事・横川友樹氏の見解
ヒューマングローバルタレント株式会社代表取締役、一般社団法人外国人雇用協議会理事横川友樹氏は以下のように語る。
日本国内の労働力人口不足が社会課題となっている中、外国籍・女性・シニアの活躍や、働き手・働き方の多様化が期待されております。特に外国籍雇用においては、2020年に約172万人と前3年比で約45万人も雇用数が伸びており、今回の調査結果にもあるように、大都市以外の地域でも雇用が進んでいる状況です。
さらに2019年に新設された在留資格「特定技能」以降は、外国籍人材の受け入れを2024年までに最大34万5千人に伸ばす見込みで運用されているため、アフターコロナにおいても今後ますます外国籍の採用は増加していくと予想されます。
その他、対日直接投資を増加させるべく、外資系の誘致・外国籍幹部の雇用、特に地方国内企業との連携により、優秀な外国籍人材を日本に招き入れ、海外からの投資を増加させる計画も、経済産業省から発表されました。
現在、外国籍雇用市場は、これまで多かった労働力不足を補うための外国籍採用から、さらに経営層や高いスキルを持った高度人材の採用へと変化を見せつつあります。市場の変化や求職者のニーズを捉えながら、当社も事業に取り組んで参りたいと考えております。
<プロフィール>
2007年に早稲田大学スポーツ科学部卒業。株式会社ベイカレント・コンサルティングにてビジネスプロデューサー職を担当後、2010年よりヒューマングローバルタレント株式会社にて勤務。メディア営業部、事業推進室、人材紹介部にて営業・マーケティング業務を経て、2020年より現職。
グローバル人材の採用において、1200社以上に携わってきた経験を活かし、当社主催イベントや他社開催セミナーの講演に多数登壇している。また、人材業界誌大手『ポーターズマガジン』からのインタビューを含むビジネス・人材系メディアにも登場するなど、グローバル人材の転職市場に深い知見を持っている。
<調査概要>
【期間】①コロナ以前:2019年1月~2020年3月
②コロナ以降:2020年4月~2021年6月
【対象】Daijob.comに掲載している企業からスカウトを受けた外国籍の日本在住者で、最終経験職種が「IT関連」(オープン・WEB系、インフラ系、汎用系、組込み/制御系、その他)の求職者
【人数】①コロナ以前:2,571人
②コロナ以降:3,165人
※調査項目により未登録の情報もあるため、集計結果は必ずしもこの人数と合致していないことをご了承ください。
出典元:ヒューマングローバルタレント株式会社
https://corp.daijob.com/
構成/こじへい
からの記事と詳細 ( IT系外国人材市場でミャンマー出身者のニーズが急増している理由 - @DIME )
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