不登校や外国籍など様々な事情で義務教育を十分に受けられなかった人たちのための、夜間中学の体験教室「まなみえ」が、津市と四日市市で開かれている。県教育委員会は今月中旬まで20回開催し、ニーズを検証。来秋までに設置するかどうかを決める見通しだ。
「気持ちを込めて詩を読むには、声の強さを変えるほかにどんな方法がある?」
11月11日夜、津市の県総合教育センター。教員OBの男性がこう問いかけると、生徒たちが「声のトーンを変える」「スピード!」と生き生きと答えた。
県教委は10月から週2回、「まなみえ」を開催。津市の教室には主に10~50歳代の5人が通い、中学1年の教科書で国語と数学を学ぶ。教員は中学の非常勤講師との2人態勢で、理解度によって個別指導もする。
松阪市の女性(26)は、各地を転々とする親から通学を禁じられ、小中学校に行けなかった。独学で漢字などは覚えたが、工場で働くうち、数学に関心を持ち、学びたいと思っていたところにまなみえを知った。
「知識をつけると世界が違って見える。様々な事情で学べなかった人のために、ぜひ夜間中学を開校してほしい」と訴える。ほかにも、日本語をしっかりと学んで高校に進学したいと希望する外国籍の参加者もいる。
政府は都道府県に少なくとも1校は夜間中学を設置することを目指しており、今年4月時点で12都府県に計36校ある。今春には初の県立校が徳島、高知県にできた。
県教委も昨年度、有識者による検討委員会を設置。市町の識字学級やフリースクールなどを通じ、義務教育を十分に受けられなかった人にアンケートを行い、160人から「通える所に学び(直し)の場があれば通いたい」との回答を得た。
検討委は今年3月の報告書で、「設置の可能性を検討していくことが望ましい。(教室での)実証的な検証を進める中で、一定の入学希望が見込まれ、設置が適当と判断される場合には、開校に向け必要な準備を進めるべきだ」とした。遠藤雅典・小中学校教育課長は「県でも一定のニーズはあり、何らかの支援は必要と考えているが、生徒が通い続けてくれるか、県内の1か所に開設して遠方の人は来られるかなど、懸念や検討すべき課題は多い」と話す。
県教委は今後、関心は持ちながらも今回参加しなかった人にも、その理由を尋ねるなどしてさらに検討。来年度前半には、頻度や教科数を増やした体験教室を開き、県として設置するかどうかの結論を出す方針だ。
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