電力広域的運営推進機関(広域機関)は3日、発電事業者の供給電力量の余力を示す新しい指標の公表を始めた。従来は発電所単位の供給量を基に予備率を出していたが、今回は気象予測を基にした電力需要に加えて、1週間ごとの燃料の在庫情報を合わせて発電できる電力量の余力を算出する。2020~21年の冬に、液化天然ガス(LNG)の在庫不足から電力の需給逼迫に陥った反省を生かす。
これまでは、発電所が瞬時に発電できる大きさを示す「出力」を基に需給逼迫の状況を判断する「供給予備率」を主な基準としていた。ただ20~21年の冬に起きた電力の需給逼迫は燃料不足による長期的な電力量の不足で、瞬時に発電できる大きさを示す供給予備率だけでは需給逼迫の状況を十分に把握できなかった。
新しい指標である余力率は、1時間当たりの電力需要量を示す「キロワット時」で算出する。さらに1週間ごとの燃料の在庫状況を加味することで、十分な予備の電力量が確保されているかを判断できるようにする。具体的には1週間の電力需要量に対し、どれほどの追加の電力量を生み出せるかという比率で算出する。1週間の中でもっとも余力が少なくなる時点での比率を余力率として公表する。
まずは暖房などで電力需要が増える21年12月~22年2月まで試験的に実施する。1週間ごとにキロワット時余力率を出し、2週間先までの電力需要に対する余力を公表する。
広域機関が同日発表したキロワット時余力率は、12月4日~10日までが全国で22%以上、同月11日~17日が全国で20%以上だった。同機関が確保すべき予備の電力量の水準としている3%は大幅に上回った。
20~21年の冬にかけての電力逼迫は予想外の寒波の影響もあったが、燃料不足も原因の1つとされている。従来の予備電力量の指標だけでは、逼迫時に発電所に原因があるか、燃料が不足しているかがわかりにくかった。新たな指標により、電力供給の透明性が一段と高まる。
とはいえ、太陽光発電や風力発電の発電量が想定よりも少なくなるなどして電力の供給量そのものが減れば、需給逼迫につながる可能性もある。
からの記事と詳細 ( 広域機関、電力量の余力に新指標 供給量の透明性を担保 - 日本経済新聞 )
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