政府は10日、13都県の蔓延防止等重点措置の延長と高知県への追加適用を決めた。新型コロナウイルスの中でも重症化リスクが低いとされるオミクロン株の特性を考慮し、経済影響が大きい緊急事態宣言の発令には慎重だが、蔓延防止措置でも影響は決して小さくない。同措置による経済損失は約2兆6820億円に上るとの試算もあり、昨年末に持ち直しつつあった経済の腰折れが懸念される。
時短効果検証を
「時短要請など本当に効果があったのか、検証した上で要請してほしい」。ある飲食大手の担当者はそう嘆く。飲食業界は措置延長の影響を最も受ける業界の一つだ。酒類の提供が可能となるなど、緊急事態宣言に比べれば制限は緩和されているが、午後9時までの時短営業では集客力の大幅低下は避けられない。
営業しても採算が見込めないことなどから外食大手ワタミでは、今も直営店の約3割に当たる132店舗が休業中だ。昨年末に戻りつつあった客足も、感染者の増加とともに減り始め、営業中の店舗でも客足はコロナ前の2割にとどまる。渡辺美樹会長兼社長は1日に行われた記者会見で「飲食店の痛みがまったく分かってない」と政府の対応にいらだちをあらわにした。
感染で働き手減
野村総合研究所の木内登英(たかひで)エグゼクティブ・エコノミストも「オミクロン株は重症化リスクは低いとされるが、経済的な影響は大きい」と指摘する。感染者数が増えれば、人々は外出などを控え個人消費が大幅に低下するためだ。木内氏は蔓延防止措置の延長で、1月から続く同措置による経済損失は2兆6820億円に達すると試算。昨夏の緊急事態宣言の約半分に相当する額で、令和4年1~3月期の国内総生産(GDP)はマイナス成長となる可能性もあると指摘する。
さらに木内氏は、今回の延長を招いたオミクロン株感染の拡大では、個人消費だけでなく「働き手が減ることによる供給側の制約も生じる」と分析。この影響は試算には含まれておらず、経済への打撃は試算額よりも深刻だという。
実際、トヨタ自動車では1月18~31日にかけて、コロナ感染の影響で12工場21ラインが稼働停止に追い込まれ、約7万4千台の減産となった。村田製作所の子会社、福井村田製作所(福井県越前市)でも1月10~17日に一部操業を停止。現在は操業を再開したが、今も244人が出社できない状況にある。
工場だけでなくコンビニエンスストアや、飲食店などでもコロナ感染者が出たことに伴う休業が相次ぐ。あるコンビニ大手の関係者は「最近は営業再開に向け素早く対応できるようになり、数時間だけ閉めるケースも増えてきた」と話すが、集団感染となれば人繰りなども困難となる。常に長期休業のリスクにさらされているのが実態だ。
8日には東京ディズニーランドでも、人気のショー「クラブマウスビート」の出演者やスタッフなど4人がコロナに感染し、ショーの中止に追い込まれた。
からの記事と詳細 ( 蔓延防止延長で経済損失2・6兆円 供給制約で経済腰折れも - 産経ニュース )
https://ift.tt/8NL4yxe
No comments:
Post a Comment