ロシアがウクライナ周辺に軍部隊を集結させている問題で、世界有数の液化天然ガス(LNG)輸出国の1つカタールに注目が集まっている。ロシアから欧州へのガス供給停止に備え、米国が欧州への供給増をカタールに打診したとされるが、カタール側は「(供給は)一国では不可能」と慎重な構え。仮に供給が決まれば、日本などへの輸出量の減少は必至で、影響を懸念する声もある。(カイロ支局・蜘手美鶴)
AFP通信などによると、バイデン氏は先月31日、ホワイトハウスにカタールのタミム首長を招き、ウクライナ情勢をはじめ、イラン問題やアフガニスタン支援などを協議した。湾岸諸国首長との直接会談はタミム氏が初で、バイデン氏は「カタールは良き友で、頼れるパートナーだ」と称賛。カタールを北大西洋条約機構(NATO)非加盟の主要同盟国に指定する考えを明らかにした。
米国がカタールを重視する背景には、ウクライナ情勢への危機感が透ける。欧州はガス需要の4割をロシアに頼り、情勢悪化によってガス供給が止まれば経済的打撃は避けられない。
米国はオーストラリアなどガス主要生産国に欧州への供給を要請しており、タミム氏にも協力を求めたとみられる。ガス輸入国の日本や韓国などにも打診したとされ、事態の深刻さがうかがえる。
カタールのガス埋蔵量は世界3位の推定24兆6800万立方メートル(2019年末)で、世界全体の12.4%を占めている。カタールのLNGは主にアジアに輸出され、欧州への供給が決まれば、日本をはじめ影響を受ける国は少なくない。
こうした中、カタールのカアビ・エネルギー担当国務相は1日、欧州連合(EU)のエネルギー担当とビデオ会談後、声明で「欧州で必要なガス量を考えるとカタール単独では補えない。(問題が)外交的手段で解決されることを望む」と慎重な姿勢を見せた。
中東情勢に詳しいナイル大(エジプト)のサイド・サデク教授(政治学)は「カタールが天然ガスを供給するかどうかは、ウクライナ問題のカギとなる。その場合、天然ガスというロシアの『切り札』を封じることになる」と指摘する。
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