富士フイルムホールディングスはデジタルカメラ部品の調達管理にブロックチェーン(分散型台帳)を活用した共通プラットフォーム(基盤)を2023年度に導入する。21年度から一部取引先との実証実験を進めてきた。運用開始時は1次サプライヤー複数社が参画。取引情報の透明性を確保するとともに、調達計画や生産状況などを即時共有してサプライチェーン(供給網)の最適化につなげる。
自然災害や国際情勢などのリスクが高まる中、調達懸念を最小限に抑え、納期直前に部品の需給逼迫(ひっぱく)が判明するなどの事態を防ぐ。データの不正な書き換えが難しいブロックチェーンの特性を生かし、取引情報の信頼性を担保する。生産・流通に関わる計画や履歴をリアルタイムで管理して、課題である情報共有の遅れによる在庫不足・在庫過剰の発生を抑える。
発注側は事前に手配予定を伝えられ、受注側は生産状況を共有しやすくなり想定外の事態が起きてもすぐにチャットで報告できる。
取引自動化にも対応する。実証実験では発注から生産開始までの期間が短縮されるなどの成果がみられた。データの改ざんが難しいことから、発注企業に合わせた専用ソフトの導入やライセンスなどが不要で、取引先の負担軽減につながる。
富士フイルムのインフォマティクス研究所(神奈川県開成町)で行うブロックチェーン技術の研究成果を応用し「デジタルトラストプラットフォーム」を自社開発した。本格運用後は対象製品の拡大などを視野に入れる。
日刊工業新聞 2022年6月9日
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