欧州ではロシア産天然ガスの供給停止に伴う経済的打撃が急速に拡大しつつあり、世界的な金融危機を最終的にしのぐ影響が生じる恐れが出てきた。
欧州全域のリセッション(景気後退)は今や避けられそうになく、光熱費の急騰で警報が鳴り響く家計にとどまらず、基本原材料が欠かせない化学メーカーや製鉄所、自動車メーカーにとっても厳しい冬が訪れようとしている。
ロシア産ガスを欧州に運ぶパイプライン「ノルドストリーム」で 破壊工作が疑われる損傷が見つかり、ロシアからまとまったガスの供給が得られないまま、冬を乗り切らざるを得ない見通しがあらためて意識された。
欧州エネルギー市場・経済モデルに基づく、ブルームバーグ・エコノミクスの基本シナリオによれば、ユーロ圏の域内総生産(GDP)は2022年10-12月(第4四半期)から23年1-3月(第1四半期)にかけ約1%縮小すると見込まれる。
しかし、今後数カ月が特にひどい寒さとなり、欧州連合(EU)27カ国で乏しい燃料供給をうまく融通し合うことができない最悪のシナリオでは、GDPは2四半期で4.7%減少する可能性がある。
2008年9月のリーマン・ブラザーズ・ホールディングス破綻後の2四半期でユーロ圏のGDPは4.9%縮小したが、今度のリセッションは09年まで続いた世界的金融危機当時に匹敵する厳しさになることもあり得る。
国際通貨基金(IMF)で主任エコノミスト兼調査局長を務めたピーターソン国際経済研究所の上級研究員、モーリス・オブストフェルド氏は「かなり深刻なリセッションになりかねない状況に欧州が向かっているのは非常に明らかだ」と指摘した。
原題:
Nord Stream Hit Adds to Europe’s Economic Woes in 2009 Echo (1)(抜粋)
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