電気料金が値上がりする中、つくば市は、市のごみ焼却施設、つくばサステナスクエア(同市水守)で発電した電力の一部を、市役所本庁舎など41施設に供給する「自己託送」と呼ばれる事業を10月1日から開始したと発表した。自己託送は東京都八王子市や千葉県船橋市などで実施されているが、県内市町村では初めてという。
年に電力料金6890万円削減
導入により、41施設の電力料金が年約6890万円削減でき、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を年約1900トン減らすことができるという。41施設は市役所のほか、交流センター、市立保育所、老人福祉センター、体育館など。
自己託送は、自家発電設備で発電した電力を、電力会社の送電網を使って、遠隔地にある自己所有の施設に送電し供給する事業。2013年に制度が始まったが、電力需要の計画値と実績値にずれがあるとペナルティーを科されるなどのためなかなか普及しなかった。
同市のごみ焼却施設では年約2600万キロワットを発電している。約1000万キロワットを自家消費し、残り約1600万キロワットは売電し、年約1億7890万円の売電収入があった。
売電していた約1600万キロワットのうち、41施設の必要電力量の7割にあたる420万キロワットをごみ焼却施設から供給する。7割にとどめるのはペナルティーを避けるため。残り3割は新電力のアーバンエナジー(横浜市)から、廃棄物発電や木質バイオマス発電、太陽光発電などの電力を購入する。ごみ焼却発電の残り約1180万キロワットは引き続き売電する。
自己託送により、売電収入はこれまでよ4110万円減り約1億260万円となるが、41施設の電力料金が年約2億2570円から約1億1570円に減るため、差し引き6890万円の節約になる見込み。
41施設の導入期間は10月1日から2025年9月末までの3年間。市の他の施設も電力の契約更新時期に合わせ、電気料金の変動動向を見ながら、順次、自己託送に切り替えていくとしている。
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