[ソウル 28日 ロイター] - 半導体業界からはようやく供給過剰解消の出口が見えてきたと喜ぶ声が聞こえてきた。しかし人工知能(AI)関連以外の半導体需要見通しは、依然としてそれほど明るさが見えない。
今年に入り、スマートフォンやパソコン(PC)、データセンターといった半導体の主要市場はいずれも落ち込んだ。企業と消費者の双方が経済低迷や物価高、金利上昇に直面して支出を減らしたからだ。
このため汎用半導体は未曽有の供給過剰状態に陥り、メモリー生産で世界トップ2のサムスン電子とSKハイニックスは上半期の赤字額が合計で15兆2000億ウォン(120億ドル)に膨らんだ。
ただこうした供給過剰は和らぎ始めている。主な理由の一つはメーカーによる減産の取り組み。もう一つはカナリスのデータで分かるように、第2・四半期のPC出荷減少率が前2四半期の30%から11%まで縮小したことにある。
スマホ市場も持ち直し、カウンターポイントによると第2・四半期の出荷台数は前期の14%減から8%減になった。
SKハイニックスのキム・ウヒョン最高財務責任者(CFO)は「需要は非常に緩やかに回復してきている」と述べた。
もっとも同氏の説明では、最近のPC出荷状況の改善は積極的な販売活動と低価格モデルが主因で、半導体需要の回復という面で影響は限定的。しかも今年のPCとスマホの出荷台数予想は当初に比べて切り下がっているという。
確かに生成AIを動かす半導体の需要は、オープンAIが「チャットGPT」を公表した昨年終盤以降急速に伸びているものの、このセクターはまだ半導体需要全体に占める比率が非常に小さい。企業によってはAI向け投資を優先にしているため、サーバー向け投資が減るというしわ寄せも生じている。
インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は27日、サーバー用CPUの在庫だぶつきは年後半まで続き、データセンター向け半導体の売上高は第3・四半期に小幅減少して第4・四半期にようやく上向くとの見通しを示した。
半導体需要が世界最大の中国経済の足取りの重さも、全体の見通しに影を落としている。
サムスン電子とSKハイニックスは、「ゼロコロナ」政策解除後の中国ではスマホ市場の回復が想定よりも鈍く、スマホのデータ保存に広く利用されているNANDメモリーの減産期間を延長していると述べた。
中国事業の比重が大きいテキサス・インスツルメンツ(TI)が25日発表した第3・四半期の売上高と利益の見通しは市場予想に届かなかった。
エドワード・ジョーンズのアナリスト、ローガン・パーク氏は、TIにとって中国事業は2022年度末時点で売上高の約半分に達しており、最も大きな影響を受けると指摘した。
(Joyce Lee記者)
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