新型コロナウイルス禍や、それに関連した半導体不足によって滞っていた新車の供給が回復しつつある。県内の新車登録台数(軽自動車除く)は2023年1月以降、9カ月連続で前年同月を上回り、軽自動車の新車販売台数も5月から前年比プラスが続く。ただ、購入者が新車を手にする納車までの期間はメーカーや車種によってばらつきがあり、正常化にはなお時間がかかりそうだ。
「22年末から、徐々に新車の供給が回復してきた」と言うのは、熊本トヨタ自動車(熊本市)の上村誠営業本部長(51)。熊本トヨタが扱った23年1~9月の新車登録は4087台と、前年同期比で3割増えた。
コロナ禍で納車まで1年以上かかることも珍しくなかったが、最近は短縮。2~3割の車種で半年以内、それ以外でもほぼ1年以内でメーカーから届くようになったという。納車待ちの台数は、今年に入り約3700台から2700台に減った。
背景には、半導体不足の解消による挽回生産に加え、販売方法の変化もある。コロナ禍を受けて、新型車の納期の長期化を防ぐため、メーカーが受注した数を製造する従来の方法から、販売各社へあらかじめ台数を割り当てる形に変更された。
ただ、納車待ちの台数は減ってきたとはいえ、コロナ禍前と比べれば依然として高い水準。上村営業本部長は「以前の状態になるには、あと2~3年かかるのではないか」と、慎重に見通す。
軽自動車や小型の乗用車を販売するスズキ自販熊本(熊本市)でも、納期は徐々に正常化に向かう見込みだ。今年4月以降は新車の供給が回復。人気車の「ジムニー」を除き、受注から半年以上かかっていた納期が2~3カ月に短縮した。森本利昭直販本部長(64)は「納期が長すぎて顧客の購入意欲がなくなるのが怖かったが、供給が改善してよかった」と胸をなで下ろす。
一方、半導体の供給回復がすぐに納期短縮につながっていないケースもある。トラックやバスなど商用車を取り扱ういすゞ自動車九州(福岡市)では、今年に入ってメーカーからの供給は増えたものの、業種や用途に合わせて装備を追加する作業が追いつかず、納期は通常から半年程度長くかかる状況が続いている。
薬師寺剛中九州支社長(54)は「特殊な設備が必要な車両もあり、どうしても時間がかかる。もう一度、車検をお願いして対応している」と理解を求める。
新車の供給不足が続く中、注目度が高まったのが中古車市場だった。県内の販売店でつくる県中古自動車販売協会(JU熊本)によると、オークションでの売買台数に大幅な変化はみられない。自動車販売業を営むカートップ熊本(宇城市)の塚本政明社長(47)は「依然として、早く購入できる中古車を求めるニーズはある」と話す。
ただ、業界大手ビッグモーターの不正問題を受け、協会加盟店の中にも販売への影響を懸念する声があるという。JU熊本の満田和浩会長(60)は「地域の顧客に信頼されることが重要。10月に開始した支払総額表示をはじめ、分かりやすい販売に努めたい」と話した。(田代智也)
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