新型コロナやインフルエンザの流行などの影響で、深刻になっているのが医薬品の不足です。武見厚生労働大臣は18日、不足する薬の増産要請に応じたメーカーへの支援を、新たな経済対策に盛り込む方針を明らかにしました。医薬品が不足している状況や背景、対策についてまとめました。
入手しづらい医薬品は?
東京・西東京市の「小田薬局」では、およそ1700品目の医薬品を取り扱っていますが、医薬品メーカーの出荷調整の影響などにより、およそ300品目の供給が不安定になっています。
特に、せき止めや、たん切りの薬、解熱鎮痛剤、抗生物質の処方薬が入手しづらくなっているということで、けさは保管棚にほとんど在庫がないせき止め薬もありました。
医師に相談しほかの薬に変更することも
患者の処方箋に書かれた薬の在庫がない場合は、医師に相談してほかの薬に変更してもらうなどしています。
小田薬局東伏見店 薬剤師 小野啓一郎さん
「最近はインフルエンザなどの感染症も流行して、薬不足も深刻になっています。医師に確認をして薬の変更をするなど、時間がかかることが多く、欲しかった薬が手に入らず落胆する患者さんもいるのでつらいです。薬がないとどうにもならないので、注文したらすぐに医薬品が入ってくる以前のような状態に戻ってほしいです」
後発医薬品 30%余が全注文に対応できず
医薬品の供給不足は各地のジェネリック=後発医薬品のメーカーで製造上の不正が発覚し、2021年以降、業務停止などの行政処分が相次いだことに加えて、新型コロナやインフルエンザの流行で需要が増えたことなどを要因に、2年以上続いています。
2023年8月時点で、日本製薬団体連合会と厚生労働省が、製造販売業者を対象に行った調査では、回答があった9077品目の後発医薬品のうち、すべての注文に対応できない「限定出荷」と「供給停止」となっているのが32点3%、2928品目に上っています。
対策の一方で長引く問題 構造的な要因も
厚生労働省は対策として、薬が足りない薬局や医療機関向けの「相談窓口」を設け、在庫がある業者に販売を依頼するなどの対応をとっているほか、全国の医療団体などに対し、薬の処方を最も短い日数にとどめるなど、限られた供給量の中で有効に活用することを求める通知を出しています。
ただ問題は長引いていて、その背景には、政府がジェネリックの利用を推進する中、製造能力が十分でない企業も参入したことや、薬の価格が下がると、採算性を理由に製造をやめたり、生産量を絞ったりする企業があることなど、構造的な要因も指摘されています。
増産に応じたメーカー支援方針 厚労相
感染症の流行が懸念される冬を前に18日、武見厚生労働大臣は緊急対応策をまとめたことを明らかにしました。
それによりますと、年内は、不足している薬を製造する主要メーカー8社に対し、在庫の放出や緊急の増産を要請することで、供給量は9月末時点に比べて1割以上増える見通しだとしています。
その上で、年明け以降のさらなる増産に向けて、必要な人員の確保や生産設備の増強などを行うメーカーへの支援を、政府が11月末をめどに策定する新たな経済対策に盛り込む方針だとしています。
武見大臣は「国民に必要な医薬品を確実に届けられるよう今後ともあらゆる手立てを講じる」と述べ、薬価の見直しなども検討していく考えを示しました。
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