◎企業指標に不採算品再算定品目の5年間の薬価乖離率も
厚労省は、後発品の企業指標を24年度改定で試行的に最小限のものから導入する考えを示した。24年度改定から導入する評価指標としては、製造販売する安定確保医薬品の品目数や自社理由による出荷停止または出荷量の制限の実施、後発品全体の平均乖離率庁の品目の割合、新規収載から5年以内に撤退した品目数、不採算品再算定品目で5年間にわたる薬価改定時の薬価乖離率が一定値を超えることなど。積極的な投資や供給不安を解消するための増産など、安定供給に貢献していると評価される事項についてはプラスの評価を行う。一方で、製造販売企業として当然実施しなかった場合にはマイナス評価とする。
評価項目をポイント化(点数化)し、合計点を相対的に評価。「一般的な取り組み状況にある企業の区分(B区分)を基本とし、合計点の上位20%を「一定水準を超える取り組みを行っていると評価できる企業の区分(A区分)」、合計点がマイナスとなった企業を「一定水準を下回る取組を行っていると評価される企業の区分(C区分)」に位置付ける。評価時点から1年以内に製造販売する品目の医薬品医療機器等法違反に基づく行政処分の対象となった企業については、合計点数によらず「A区分」とはしない。
具体的には、A区分と評価された企業の品目については、同一成分規格の品目数の状況も踏まえ、一部の医薬品に限定して、一定の条件のもとで3価格帯とは別の扱いとすることなどを提案した。
今回は導入されたないが、企業指標の一つの軸である安定供給についての情報公開については、 公開すべき情報提供の内容や判断基準等は今年度中に考え方を示した上で、企業における準備期間を設け、来年度前半のできる限り早いうちに企業による公表を開始することも提案した。
◎支払側・松本委員 5品目超で乖離率高く「シミュレーション踏まえて最終的に判断」
診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「導入した上で検証していくこととする前提で今回の提案のような指標評価となることは理解できる」と述べた。現行の3価格帯は、「後発品の品目が多すぎることが背景にある。理想的には個別銘柄で、それぞれに薬価を設けることが各社、各品目の薬価上の評価になるという考えに立てば、価格帯とは別に薬価算定できる品目が生じることは、許容できる」と述べた。
診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「企業指標の導入については、初の試みであること、企業の準備期間が必要なこと、安定供給に支障をきたす可能性もあることなどから、シミュレーションの内容をもとに最終判断した上で、試行的に導入すべき」と述べた。
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、新規後発品の乖離率が5品目超で高い傾向があるとして、「参入のハードを高めることも、安定供給の確保に繋がると考えますので、これについても業界のヒアリングとシミュレーションを踏まえて最終的に判断させていただく」と述べた。
◎基礎的医薬品 25年要件を“15年”に短縮へ
薬価の下支えルールである基礎的医薬品について要件を現行の25年から「15年」に短縮することが提案された。また、平均乖離率超となり適用が外れた品目については、改定時に基礎的医薬品が適用されても薬価の引上げは行わず、改定前薬価を維持することも提案した。
診療側の長島委員は、「市場実勢価格の乖離状況等を踏まえて検討していく事項」と指摘。診療側の森委員は、「今年になり、新たにフェーズが変わった。物価高騰、賃金高騰等への対応をどうしていくのか、日本の経済動向などを踏まえた中長期的な視点でも議論が必要だ」と述べた。
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