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Sunday, November 19, 2023

<社説>医薬品の不足 供給力強化を急がねば:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞

 医療機関で処方された薬を、薬局で入手できない事例が増えている。医薬品の供給不足に加え、新型コロナやインフルエンザの流行で医薬品不足に拍車がかかっているためだ。健康を守るために必要な医薬品を安定的に供給するため生産体制の見直しを急ぎたい。

 厚生労働省によると、9月時点で医薬品約1万8000品目のうち約23%が供給停止もしくは出荷が限定された状態にある。いずれも約7割を後発薬(ジェネリック医薬品)が占める。

 日本医師会の会員らを対象とした調査では、院内処方をしている医療機関の9割が「入手困難な医薬品がある」と答えた。

 特に、インフルエンザなど感染症治療に使われるせき止め薬や去痰(きょたん)薬の不足が深刻で、患者が在庫がある薬局を探し回る事態は、医薬品の供給体制に対する不安を増大させている。

 厚労省は医療費削減のため、先発品に比べて価格が安い後発薬の普及を進めてきた。既に供給される約8割が後発薬となっている。

 しかし、2020年以降、小林化工や日医工など後発薬の製薬会社十数社で品質不正が発覚し、業務停止の処分を受けた。今年10月には後発薬最大手の沢井製薬でも不正な品質試験を行っていたことが明らかになった。

 現在の医薬品不足は、後発薬の製造停止で必要量が供給されないためだ。厚労省は品質管理体制を整え、二度と不正を起こさないよう製薬各社に促す必要がある。

 医薬品供給体制の構造的課題も指摘されている。政府は後発薬の普及を進める一方、公定価格で定める薬価を引き下げており、採算割れの医薬品もあるという。

 後発薬の製薬会社は規模が小さい上に、製造工程が複雑化する多品目、少量生産が求められる。人材も限られ、需要の急拡大に品質管理能力が追いつかないのが実態だ。需要がある以上、生産を簡単にやめられない事情もある。

 厚労省の有識者検討会は、後発薬事業に参入する企業に十分な製造能力を求める仕組みの導入や、製薬会社間での同じ種類の医薬品製造の統合、供給停止手続きの簡素化などを提言している。

 医薬品生産の効率化はもちろん行政側も柔軟な対応でそれを後押しすることが必要だ。国民の健康を守るため、一刻も早い安定供給の回復に知恵を絞ってほしい。

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