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Saturday, December 9, 2023

供給遅れが続く日産の新世代BEV「アリア」で1200km試乗して分かった実力 特徴は「高性能を優しさでくるんだBEV」、日産の ... - JBpress

特徴は「高性能を優しさでくるんだBEV」、日産の電動化戦略の中核を担う力作

日産アリアB9 e-4ORCE limitedのフロントビュー日産アリアB9 e-4ORCE limitedのフロントビュー。高性能バージョンだが装いはごく控えめ(筆者撮影)

 クロスオーバーSUVボディ、高い動力性能、長い航続距離、充電の速さなど、今どきのBEV(バッテリー式電気自動車)の真ん中を狙った意欲作でありながら、生産でつまずくという思わぬ罠にハマって存在感を出せないでいる日産自動車の新世代電気自動車「アリア」。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が、アリアを1200kmほど走らせ、商品性について試乗リポートする。(JBpress編集部)

>>日産「アリア」のすべて(写真13枚)

正式発表後に次々と逆風に見舞われた「アリア」

 2019年の東京モーターショーでコンセプトカーが初披露されてからはや4年が経とうとしている日産自動車のBEV「アリア」。

 クロスオーバーSUVボディ、安定して性能を発揮するための温度管理システム付き大容量バッテリーパック搭載、電動四輪駆動、状況次第で手放し運転が可能な運転支援システム「プロパイロット2.0」など、今の高性能BEVに求められる要素をこれでもかというくらい盛り込んだ意欲作だ。これに合わせて日産のコーポレートロゴまで変更したという力の入れようだった。

日産の新ロゴマークアリアに合わせて変更された日産の新ロゴマーク(筆者撮影)

 だが、2020年7月の正式発表後の歩みは混乱の連続だった。栃木工場に設けた人工知能生産ライン「インテリジェントファクトリー」が難産であったり、コロナ禍で部品調達が滞ったりといった逆風に見舞われて供給が遅れ、日本で顧客への引き渡しが始まったのは発表から1年以上後の2022年。その後もグローバルの受注残を掃くことすらままならず、新規受注を停止したまま今日に至っている。

 日産社内や販売会社からも「本来なら最初のマイナーチェンジが行われてもおかしくない時期なのに受注停止が続いているのは痛い」と嘆きの声が聞かれる。ユーザーとしては「いつになったら受注再開するのか」という思いであろう。

 そこで、アリアの生産正常化を前に約1200kmのロードテストを行い、パフォーマンスや商品性を検証してみた。

 最初にアリアの概要について簡単に解説しておこう。車体寸法が全長4.6×全幅1.85×全高1.67mという中型クロスオーバーSUV。プラットフォームはルノー・日産アライアンスで新開発した「CMF-EV」。バッテリーパックは総容量66kWh「B6」と91kWh「B9」の2種類で、それぞれFWD(前輪駆動)と電動AWD(4輪駆動)「e-4ORCE」の2種類の駆動方式と組み合わされる4グレード構成。

アリアB9 e-4ORCE limitedのサイドビューアリアB9 e-4ORCE limitedのサイドビュー。ドアは前後とも十分な長さと開放角を持っており、乗降性は良かった(筆者撮影)
アリアB9 e-4ORCE limitedのリアビューアリアB9 e-4ORCE limitedのリアビュー。イカツさを排したスリークデザインが特徴(筆者撮影)

 ロードテスト車は発売開始時の限定モデルであったトップグレードの「B9 e-4ORCE limited」。91kWhの大容量バッテリーパックを搭載し、最高出力160kW(218ps)の電気モーターを前後アクスルに2基備えるハイパフォーマンスモデルである。0-100km/h加速タイムの公称値は5.4秒。同社のエンジン車のスポーツカー「フェアレディZ」並みの速力を持つというのが日産の説明だ。

 ドライブルートは横浜の日産グローバル本社を起点とし、まずは関東と越後の分水嶺である三国山脈を越えて日本有数の秘境ルート、新潟の奥只見ダム~福島の尾瀬・檜枝岐村を巡っていったん東京へ。そこからは4名乗車で主に高速道路経由で群馬・川場村との間を往復し、最後は横浜に帰着するという総走行距離1183.4km。

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