【ワシントン=坂口幸裕】米ニュースサイトのアクシオスは5日、米政府がイスラエルへの弾薬供給を先週停止したと報じた。2023年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃したのをきっかけに戦闘が始まって以降、初めての措置になる。
イスラエルの当局者の話として伝えた。弾薬提供を継続的に止めるかは明らかになっていないものの、同国政府は輸送停止を強く懸念していると報じた。
米政府はイスラエルの最大の後ろ盾となってきた。ガザで民間人の犠牲者が増大する現状を問題視してり、全面的に支援してきた姿勢に変化がみられる。
バイデン米大統領は4月に人道状況を改善しなければ軍事支援の見直しも辞さないと警告。与党・民主党内からも「民間人保護や人道配慮をしないなら支援に条件を課すことに賛成する」(バイデン氏に近い民主党のクリス・クーンズ上院議員)との声があがる。
軍事支援の継続に慎重な意見が広がる背景には、ガザでの民間犠牲者の拡大に伴い、過剰な反撃をやめないイスラエルに対する米世論の反発がある。若年層を中心とした批判の矛先はイスラエル支援を続ける政権に向かう。
足元では全米の大学でデモが拡大している。再選をめざす大統領選を11月に控えるバイデン氏は米世論の動向に神経をとがらせる。
米政府はこれまでも強硬なイスラエルを抑えようと努めてきた。2月には米国から武器支援を受けている100カ国以上を対象に、民間人保護を含む戦争法に沿って武器を使用する「信頼できる保証」を国務省に提出するよう義務付けた。
それでも効果は乏しく、ガザ保健当局によると、23年10月以降のガザ側の死者は6日時点で3万5000人近くに増えた。イスラエルは人口100万人超が集中するガザ最南部ラファに地上侵攻する計画で、バイデン氏は一貫して反対してきた。
イスラエルとハマスはエジプトなどが仲介する形でガザの戦闘休止を巡る交渉に入っている。米国は戦闘休止を機にハマスが拘束する人質の解放と長期的な休戦につなげたい狙いがある。
もっとも交渉で合意できるかは見通せない。ハマスが恒久的な停戦を求める一方、イスラエルはこれを拒否する姿勢を変えていない。同国のネタニヤフ首相は休戦合意の有無にかかわわずラファに侵攻する構えをみせ、米国の思惑通りに進む保証はない。
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