「中国で一番高い滝」、パイプから水を供給か ハイカーが動画投稿

滝の水がパイプから出ているとする動画の静止画

画像提供, Douyin

中国・河南省にある雲台滝の水源をめぐり、ソーシャルメディア上で論争が巻き起こっている。滝の水が実は、水道管から供給されているものだという動画が投稿されたためだ。

一人のハイカーが投稿した動画では、雲台山公園にある滝の水が、岸壁の高所に設置されたパイプから流れ出ているように見える。雲台滝は、中国で最も高所から途切れることなく流れ落ちる滝と称されている。

3日に動画が投稿されて以降、7万以上の「いいね」がついている。

公園運営者によると、有意義な旅行だったと観光客が満足できるよう、乾季の間に「小規模な強化」対策を行ったという。

「Farisvov」というユーザーが投稿した動画のキャプションには、「雲台滝の水源まで苦労して向かったのに、パイプしか見つからなかった」と書かれている。

「雲台滝の水源はただのパイプ」と題されたこのトピックは、ソーシャルメディア上でトレンドになった。

中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボ)」では1400万回以上、動画アプリ抖音(ドウイン)では1000万回近く再生されている。この騒動を受け、公園の調査のため地元自治体関係者が派遣される事態となった。

彼らは運営者に対し、この事案から教訓を学ぶこと、そして事前に観光客に対して強化対策について説明することを求めたと、国営放送局CCTVは報じた。

雲台滝

画像提供, Yuntai Mountain Net

「少し手助けを」

公園側はその後、雲台滝に扮してこう投稿した。「こんなかたちでみなさんに会うとは思わなかった」。

「季節によって景色が変わるので、みなさんが会いに来る時に毎回、私が最も美しい姿でいられるとは保証できません」

「私は乾季の間だけ、友人たちに最高の姿を見せられるよう、少し強化対策をしたのです」

河南省中部に位置する高さ312メートルの雲台滝は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が定める、国際的に重要な地質学的重要性を有する場所や景観が、保護・教育・持続可能な開発が一体となったコンセプトのもとに管理された、単一の、統合された地理的領域「ユネスコ世界ジオパーク」に指定された雲台山ジオパーク内にある。

1億年以上前に形成されたこの地質学的特徴に魅了され、毎年数百人の観光客が訪れている。

公園関係者はCCTVに対し、滝に水を送り込むのに使った水は湧き水で、自然の景観を損なうことはないと話した。

ソーシャルメディア・ユーザーの多くは、この状況に理解を示しているようだ。

抖音(ドウイン)に投稿された「雲台公園へ。この人にはほかにもっとすべきことがあるのでは?」とのコメントには、4万近い「いいね」が付いている。

「(強化対策は)いいことだと思う。そうしなければ、みんなあの場所で何も見られずに終わってがっかりするだろうから」と、微博ユーザーの1人は述べた。

一方で、批判的な声もある。

「自然の秩序を尊重していないし、観光客のことも尊重していない」と、別の微博ユーザーは投稿した。

「もう、ナンバーワンの滝なんて呼べない」と、抖音ユーザーの1人はコメントした。

中国で有名な滝を「手助け」するために人為的な措置がとられたのは、今回が初めてではない。

南西部・貴州省の有名な観光地となっている「黄果樹瀑布」という滝では2006年以降、乾季の水流量を維持するために近くのダムから水を引くプロジェクトが行われている。