パナソニックエナジーは6日、車載用電池を生産する米国ネバダ工場(ネバダ州)の生産能力を2030年度に23年度比で15%高めると発表した。ラインの増強や改善で生産能力を引き上げる。同社の車載電池事業は従来、米テスラの電気自動車(EV)向けを中心としてきたが、国内自動車メーカーへの供給を拡大する方針も明かした。パナエナジーの只信一生社長は「日米2軸での事業展開に向けて戦略を修正する」と話した。
車載用リチウムイオン電池(LiB)を生産するネバダ工場で24年度から部分的な設備投資を行い、生産数量を5%増強する。24年度内の稼働を目指して立ち上げ中の米カンザス工場(カンザス州)では、ネバダ工場より必要な人員を30%減らした新たな生産ラインを導入する。
従来、国内の住之江工場(大阪市住之江区)などはテスラ向けが中心だが、今後は国内車メーカー向けの拠点にする。現在生産している円筒形電池「18650」から、高容量の「2170」用に設備も入れ替える。これらの施策により「中長期で成長性と収益性を両立する」(只信社長)。
一方、車載以外の分野では生成人工知能(AI)向けデータセンター(DC)用電源システムの量産を始めた。具体的な生産量は明らかにしていないが、DC向け電源システムの利益率は「2ケタを確保しており、産業・民生事業の収益をけん引している」(パナエナジー)。専用セルを使ったシステムで急激に高まる生成AIの需要を取り込む。
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