大手総合不動産コンサルティングサービス・投資運用会社コリアーズ・インターナショナル・ジャパンは7月11日、「大型物流施設 2024~2026年の新規供給の見通し|4大都市圏」を発表した。
それによると、2023年は、4大都市圏で合計200万坪弱の新規供給があり、過去最大級の供給量となった。2024年は前年より減少するものの合計151万坪、2025年は合計138万坪の新規供給となり、年間100万坪を超えるペースで供給が続いている。そのため、4大都市圏の新規供給量は今後も高水準で推移されると予想している。
日本の大都市圏の中核を構成する東京圏と大阪圏の物流施設の供給量は、2024年以降も高水準になるとされている。東京圏では、直近の供給増加の結果、一部のエリアでは供給超過傾向がみられ、テナント誘致に要される期間が長期化しており、竣工から満床まで1年以上を要する新築物件もみられる。賃貸市場では、空室が増加する一方で、建築費の高騰から募集賃料水準に下落は限定的。大阪圏では、2024年前半時点の需給バランスは比較的安定しているが、今後の供給増加に伴う市況の変化に注視する必要があるとしている。
都市圏ごとに見ていくと、まず東京圏の供給動向は、2024年の大型物流施設の新規供給は、神奈川、茨城、千葉を中心に見込まれる。圏央道沿線では、5万坪超の大規模物件の供給が控えており、これらを含む1万坪を超える大規模物件の供給が2025年までに計30件程度見込まれる。西東京エリアから圏央道埼玉エリアにかけての東京圏の北西部では、2025年までにそれぞれ15万坪程度の新規供給が予定されている。1万坪を超える大規模物件が10件以上供給され、ここでも圏央道沿線の開発が目立つ。千葉内陸エリアの常磐道沿線でも、1万坪を超える大規模物件の新規供給が2025年までに10件超予定されている。
大阪圏の供給動向では、2023年は兵庫県の神戸市を中心に供給が増加し供給量が大阪圏内で最多となった。2025年にも延床面積11万坪超の「GLP ALFALINK尼崎」を含む大きな供給量が見込まれ、大阪圏の新規供給の過半を占めるものと予想される。大阪府では、2024年に27万坪の供給が込まれている。「GLP ALFALINK茨木1」が最大規模となり、翌年以降も同シリーズの供給が続くとされている。大阪府・兵庫県と比較して、他府県の供給量は少ないが、2024年から2025年にかけて、滋賀県で「(仮称)UI湖南ロジスティクスセンター 1期・2期計画」が竣工を予定し、同エリアでは最大規模となる予定だ。
名古屋圏の供給動向では、2023年は、三重県・愛知県での供給が目立った。三重県では、延床面積約3万坪の「MFLP弥富木曽岬」が竣工され、愛知県では、2025年に名古屋市内で延床面積2万6000坪の「ロジポート名古屋2」が竣工予定。また、延床面積2万坪弱の「MFLP一宮」も、愛知県の新規供給増に寄与している。静岡県では、2025年に「(仮称)MCUD・ZIP 静岡掛川」が竣工予定。2023年には「DPL掛川B」が竣工し、東名高速沿線の開発が続く。2024年問題を意識した東京大阪間の中継拠点の立地としては、距離的に若干大阪寄りとなる愛知県よりも、静岡県西部に優位性があるとの見方もあり、今後の供給動向が注目されている。
福岡圏の供給動向は、2023年から2024年にかけて、福岡県での供給が増加し、概ね年間10万坪程度の新規供給が続く予定。九州各方面への分岐点となる鳥栖JCT周辺エリアで、供給が増加し、本州方面からみて福岡市の玄関口となる古賀エリアなどで、複数物件の供給が予定されている。2023年に竣工した「メープルツリー筑紫野ロジスティクスセンター」は延床面積7万坪と、同エリアでは最大規模の物件となった。
なお、コリアーズは、ナスダックおよびトロント証券取引所に上場する、世界有数の大手総合不動産プロフェッショナルサービス・投資運用会社。
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