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Saturday, February 15, 2020

2020年のEC物流 年々高まるニーズにどう対応するか|物流ニュース|物流ウィークリー - 物流ウィークリー

 通販需要の拡大などの影響もあり、EC物流ニーズは年々増加の一途を辿っている。物流企業をはじめ一連のサプライチェーンに関わる企業も、年々増加する貨物に対応を迫られている。今回は2020年からのEC物流をテーマに所見を聞いた。

■ニューレボ 人不足やコスト上昇で内製化進む可能性

 スマートフォンをハンディターミナルとして活用でき、入庫から出荷までの倉庫業務をローコストで自動化・効率化できる倉庫監理システム「ロジクラ」を提供するニューレボ(東京都渋谷区)の長浜佑樹社長は2020年のEC物流について、内製化が進む可能性を指摘する。理由を聞くと、物流コストの全体的な上昇を例に出し「ここ数年は外部へ委託するのが多く見られたが、人手不足および物流コストの上昇から内製化を計画するEC事業者が増加する可能性がある」と指摘する。

 同氏は、そうした中で重要となる要素に、人材のボトムアップまたは平準化、コストの調整を挙げる。理由については「例えば、これまで外注していた企業が、急に自社でそれをやろうとしても、管理者・スタッフ共にノウハウが蓄積されておらず、高いクオリティを達成できない可能性が高い。加えて、コストダウンを目的に内製化をしているケースでは、主目的のためにコストを上昇させるような品質対策は取りづらくなる」としている。

 同氏は、そうした環境に対し「ロジクラはクラウドを活用し価格も低く、スマートフォンを使用したピッキングを推進しており、物流作業の簡易化にも効果がある。2020年も、お客様の課題解決に貢献できるのでは」と話す。
 さらに同氏は倉庫管理システム・受発注管理システムの連携についても言及。「倉庫内の作業効率などについては、かなり改善が進んできたのではないか。しかし、倉庫側とショッピングモールなどの間では、連携を強化できる部分、自動化が進んでいない部分があるのではないか」と分析している。

 同社は今年も、こうした連携の強化に努める予定。また、対応可能なショッピングモールについても、従来は弱かった「楽天」「ヤフーショッピング」などとの連携を強めていく方針だという。

■シッピーノ 物流センターの窓口増加、物流現場へIoT導入

 ECの自動出荷サービス「シッピーノ」を提供しているSHIPPino(シッピーノ、神奈川県茅ヶ崎市)の田渕健悟社長は2020年からの予想として「2020年はEC物流の現場へ、従来以上のIoTが導入されるのではないか」とし、「これまでシッピーノはWMSを通じて倉庫企業とつながってきた。しかし今後、IoTの導入が進めば、APIを通じ、従来に連携のなかったIoTソリューションから物流センター側とつながる窓口が増加し、より広い領域でシッピーノが活躍可能になる」と分析している。

 さらにEC業界全体の知見として「現在、ECの主要ショッピングモールを運営している企業が物流に力を入れ始めている。それら企業の物流サービスを利用している企業がモールでの売り上げが増加しやすい傾向があり、販売企業もモールの物流サービスを利用するケースが増加しつつある」とし、物流事業者が変化の必要性に迫られる可能性を指摘。同社は、こうした事態と併せてECに伴う業務効率化を追求してきた経験を基に、2020年初頭にも新たなサービスを展開する予定だという。

 田渕社長は「これまでシッピーノは自動化サービスを通じて多くの領域でEC物流業務の削減に貢献できていると考えていた。しかし実際は、より多くの業務が存在していた」としている。同社にもユーザーからシッピーノの基本機能に加え、ユーザー企業側のオペレーションに合わせたローカライズなどの要望が数多く届いていたという。

 しかし一方で、数多く存在する事業者の要望に全て個別に応えていては膨大なコストが発生してしまう。そこで同社は、各社それぞれにエンジニアが常駐しているのと同じ状況を作り出せないかと試行。結果、今年初頭から始まる新サービスの開発につながった。

 同サービスは、エンジニアがいなくても自社でECに関わる自動化プログラミングが可能となるサービス。PCの画面上に表示される配送指示などのアクションと、条件を組み合わせていくことで「Aというショッピングモールを通じて注文があった際にはBのセンターから発送手続きを行い、在庫が半分以下になったらCのセンターから在庫発注を行う」などの物流シナリオを作り出すことができる。

 田渕社長は「先のことは十分予測できないのが常だが、新サービスは、あらゆる状況に対応力を発揮できるのではないか。新サービスは販売と並行してティーチングなど普及に向けた活動も行っていきたい。もちろん、シッピーノ本体のサービスも進化を続けていく」としている。

■スマートシッピング 在庫管理、棚卸などの効率化・自動化を予想

 積載している商品の在庫を重量から自動計測し、在庫量に応じた自動発注を行うスマートマットを提供しているスマートショッピング(志賀隆之社長、林英俊社長、東京都品川区)の林社長は「EC物流は近未来という部分であれば、ドローンをはじめとしたモビリティの活躍が予想されるが、より近い段階の予想であれば、倉庫の棚卸しや、業務報告・情報共有化など労力がかかっており、自動化できる部分の効率化・自動化が進むのではと予想している」と話す。

 同氏は例として、ダンボール・テープ・接着剤など梱包材の在庫管理・棚卸しなどは従来、センター側で時間と労力をかけて管理していた部分を、より自動化させていくことが予想されるという。実際に同社のスマートマットでは、消耗品に対し現場で使用しているケースが多々見られるそうだ。

 さらに同氏は、物流側内部の効率化に加え、データ収集・分析を通じた荷主側主導の効率化を予想している。同氏は「日本でも今後、アメリカで進んでいるVMI(ベンダーマネジメントイベントリー)という考え方が浸透するのでは」と分析している。

 VMIは、売り手が買い手の在庫を把握し適正在庫に向けたアプローチを行っていくもの。同氏はVMIがBtoBを含めた物流のキーの一つとなっていくと予想しており、「現在のソリューションでは、配送側に急な注文が入り、それに対応するために人を動かす、という事態が散見されている。人手不足・小口化に伴うコスト増など予想される先々では困難となる。しかし逆に、顧客の在庫を予測し配送を提案・計画していくことで緊急性の高い配送を排し、配送負担を軽減していくことができる」とし、同時に「今後は顧客データの重要性が向上していく。これまでは人力でやっていた部分でもあるが、技術の発展もあり、デジタル機器を通じて顧客情報を集めることができるようになる。弊社のスマートマットもその一つ。お客様の在庫を自動把握し、発送を促している」としている。

 また、同氏は荷主側からの配送機会コントロールが進む可能性も指摘する。その例がアマゾンdayだ。荷物を受け取る曜日を限定してしまう、一見すると物流面でのサービス改悪だが、同氏は「受け取るタイミングを集中できる良さがある」と双方のメリットを指摘。

 同氏は「まだまだサプライチェーンは見えていない部分で細かい移動が多々あるのではないか。特に客先のデータを可視化し、先回りしていくことで、人手不足の中でも物流業界の存続と発展も加速していく。我々もスマートマットをはじめ、そうした動きの中で貢献できる部分が多々あるのでは」と話している。

◎関連リンク→ 株式会社ニューレボ

◎関連リンク→ シッピーノ株式会社

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February 12, 2020 at 02:08PM
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