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Friday, April 10, 2020

供給の過剰消えず 産油国が未曽有の減産合意でも - 日本経済新聞

【ドバイ=岐部秀光】サウジアラビアを中心とする石油輸出国機構(OPEC)と、ロシアなど非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は9日、日量1000万バレルの大幅な協調減産を決めた。サウジとロシアはシェアを奪い合う「価格戦争」をひとまず停止し、ライバル視してきた米国にも、異例の協調参加を呼びかけた。

サウジアラビアのムハンマド皇太子は米国のシェールオイル企業の採算悪化も期待する=ロイター

サウジアラビアのムハンマド皇太子は米国のシェールオイル企業の採算悪化も期待する=ロイター

合意では2018年10月を基準にサウジとロシアがそれぞれ日量250万バレル減らす。両国以外の国であわせて日量500万バレルの減産を担う。

サウジは10日に開く主要20カ国・地域(G20)エネルギー相の緊急テレビ会議で米国やカナダに協力を求める。シェールオイル増産で最大の産油国になった米国の協力は、ロシアやサウジの減産の事実上の条件だ。OPECプラスの枠外で日量500万バレル程度減らすことを念頭におく。

米国のトランプ大統領と、ロシアのプーチン大統領、サウジのサルマン国王は9日の電話協議で、産油国協力の重要性を確認した。

国営企業が生産のほとんどを担う中東やロシアと異なり、民間企業が担う米国では政府が生産調整を指示することはできない。トランプ氏は8日、記者団に「米はもう減産している」と発言したが、ロシアは採算割れに伴う生産停止を協調減産とはみなさない立場を示唆する。米議会には、OPECを反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)に違反しているとして敵視する声も根強い。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員は「足元の需要の落ち込みを考えれば、日量1000万バレルの減産では不十分。米国の協力を得られず減産が十分な効果を上げられなければ、原油価格が再び1バレル20ドルを割り込む展開もありうる」と話す。

さらに、OPECプラスとG20の協調減産という、従来なら荒唐無稽に思われたような協力の枠組みが、たとえ実現しても、いまの供給過剰を解消するのは難しそうだ。足元では消費が日量3000万バレル失われたとの見方もある。

新型コロナウイルス感染被害がどこまで広がるかは見通せない。世界各地にある原油の貯蔵能力は限界を迎えつつあり、行き場を失った原油が洋上のタンカーやパイプラインにためおかれる。

産油国の協力が続く保証もない。3月のOPECプラスではサウジとロシアの対立が表面化して協議が決裂した。「新カルテル」とも呼ばれた組織の結束だが、価格下落局面ではもろい。

米国のシェール企業の強みは、いったん休止しても機動的に操業を再開できることだ。市況の回復とともにシェール企業が息を吹き返して市場の「フリーライダー(ただ乗り)」に再びなるのを、サウジやロシアはもう許さないだろう。

産油国にとって、より深刻なのは、新型コロナ危機でグローバル経済のかたちが根本的に変わる可能性があることだ。世界各地に広げたサプライチェーン(部品供給網)に潜むリスクを痛感した企業が、自国内や近隣国からの部品調達に切り替える動きが予想される。米中貿易戦争も終わりの兆しがみえず、保護主義が広がってグローバル化が逆回転するおそれもある。石油市場にとって強い逆風だ。

米エクソンモービルなど欧米石油企業は、油田開発などの投資を大幅に減らすと発表した。気候変動の問題を背景に着手していた資産配分の見直しを急ぐ方針だ。投資家も、脱化石燃料ビジネスに向けた企業への圧力を強めそうだ。

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