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Wednesday, April 1, 2020

ニーズに沿った医療・介護の連携で地域包括ケアシステム構築へ:【公式】 - NET-IB NEWS

医療法人 竜門堂

迫る「2025年問題」

 少子高齢化が急速に進行している日本では、今や国民の4人に1人が65歳だといわれており、その数は今後も増え続けていくことが予想されている。とくに約800万人といわれる団塊の世代が75歳以上となる2025年以降は、高齢者の医療や介護の需要がさらに増加。それにともなう社会保障費の増大が懸念されており、これがいわゆる「2025年問題」だ。そうした状況下で現在、その重要性が声高に叫ばれているのが、「地域包括ケアシステム」である。

 「地域包括ケアシステム」とは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的の下で、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるよう、「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」の包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指すもの。範囲としては、概ね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域が想定されている。この実現のために必要なのが、介護予防などの「自助」や地域で支え合う「互助」、介護保険・医療保険サービスなどの「共助」、高齢者福祉事業などの行政サービスによる「公助」の4つの要素。これらをうまく連携させながら、地域住民・介護事業者・医療機関・町内会・自治体・ボランティアなどが一体となって地域全体で取り組むことが求められている。

 厚労省では、地域包括ケアシステムの各自治体における取り組み事例を全国で共有して各地域での取り組みを推進することを目的に、HP上で先駆的な事例を紹介。こうして全国で地域包括ケアシステムの構築や模索が進むなか、佐賀県のとある医療法人が、この自然発生的なモデルケースとして秘かに注目を浴びている。

地域に根差した医療・介護

介護療養型病床群 大野病院

 医療法人竜門堂は、佐賀県武雄市山内町の大野病院を中核とする医療法人グループである。江戸時代末期に黒髪山の麓で町医者として開業したことに端を発し、以来現在に至るまで、地域医療の担い手としての役割を脈々と受け継いできた。

 法人としては1957年1月に医療法人竜門堂を設立し、当時の毛利診療所を毛利病院へと改築したことが始まり。現在の中核施設となっている大野病院は80年5月に開院した。その後、大野病院は医療行政の変革と地域の医療ニーズに応えるかたちで病棟編成の改編や増築を重ね、開院時に52床だった病床数は現在、医療療養型104床、介護療養型87床の計191床まで増床。98年3月には竜門堂医院も開院した。一方で、2000年の介護保険制度のスタートとともに、大野病院に通所リハビリテーションを併設して介護保険事業にも進出。その後も、厚労省の医療介護政策の変革に沿って病床編成の再構築や在宅医療の展開、高齢者住宅の建築、それらにともなって必要となる介護事業の展開を進めてきた。

 現在の同法人は、内科・リハビリテーション科の大野病院を始め、小児科・内科の毛利医院(94年7月に毛利病院から無床診療所へと変更)、整形外科・内科の竜門堂医院の3施設で構成される医療部門のほか、介護部門として居宅介護支援事業を行う「竜門堂居宅介護支援事業所」、通所介護を行うデイサービス「げんき。」「爽風館」「認知症対応型通所介護 爽風館」「ふれんど」の4施設、認知症対応型共同生活介護のグループホーム「あったか荘」を展開している。さらに老人ホーム部門として、住宅型有料老人ホーム「すずかぜ」「爽風館」「ありた」の3施設と、宅老所()「はるかぜ3号館」を運営。これら一連の施設群は、基本的には大野病院を中心とした半径約3km圏内にあり、地方都市の一地域でありながら、前述の地域包括ケアシステムを構成する要素をすべて取りそろえているかたちだ。

整形外科・内科 竜門堂医院
デイサービスセンター げんき。

 同法人においては、意図的にこの体制を構築してきたわけではなく、地域のニーズに応えるなかで自然と現在のかたちになったといい、地域における医療・介護連携体制の理想的な在り方だといっていいだろう。所在する地域の人口減に歯止めがかからないなか、今後は機能を保ちながらダウンサイジングしていくことも求められるが、掲げている「医療・看護・介護を通して、社会に貢献し、社会発展に尽くす」という理念の下、同法人は地域医療の担い手としての存在感をこれからも増していくことだろう。

【坂田 憲治】

※宅老所:高齢者らができる限り住み慣れた地域で生活できるよう、介護保険サービスなどの既存制度の範囲では手が届かない部分(人)にもきめ細かく対応した、独自の福祉サービスを提供する地域に密着した施設。佐賀県が開設を支援している。^


事務長 小林 信三 氏

 我々のような地方の医療・介護事業者にとって、一番あってはならないのは、なくなってしまうことです。医療や介護で多くの選択肢がある大都市とは違い、この武雄市山内町エリアのような地方では、1つの医療・介護事業者がなくなってしまえば、それだけで地域の方々が医療難民・介護難民になってしまいます。それだけは避けねばなりません。

 人口減および高齢化が進む地方都市においては、医療だけでも、介護だけでもなく、その両輪がバランス良く機能していくことが求められます。当法人においては、専門家の方から「地域包括ケアシステムのモデルケースだ」という評価をいただくこともありますが、何も意図的に現在の体制を構築してきたわけではありません。地域のニーズに沿った医療・介護の提供を模索していくなかで、いわば自然発生的に現在の体制になったにすぎません。こうした当法人の経緯からも、地域包括ケアシステムの構築は全国一律で型にはめて行うようなものではなく、各地域の実情やニーズに沿ったかたちで、それぞれデザインしていかなければならないものだと感じます。

 人口減が進む武雄市ですが、当法人の患者・利用者となる75歳以上の後期高齢者人口については、増加傾向にあります。つまり、当法人に対しての地域のニーズも、ますます増えてくることが予想されます。今後も地域の医療・介護を守るため、地域のニーズに寄り添いながら、地域社会に貢献していきたいと思っています。

医療法人 竜門堂 事務長 小林 信三 氏


Information
理事長:下村 恭子
所在地:佐賀県武雄市山内町三間坂甲14017-5
設 立:1957年1月
TEL:0954-45-2233
URL:http://www.ryumondo.or.jp

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