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Sunday, May 31, 2020

コロナ機に供給網見直しを 日本の取るべき戦略は―有識者に聞く - 時事通信ニュース

2020年06月01日09時22分

デロイトトーマツコンサルティングの羽生田慶介執行役員(本人提供)

デロイトトーマツコンサルティングの羽生田慶介執行役員(本人提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療品などの物資を囲い込む動きが出たことを背景に、世界各国でサプライチェーン(供給網)の見直しが進んでいる。コロナ後に向け、日本が取るべき戦略について有識者2人に聞いた。

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 ◇自国優先、ルールで抑制=羽生田慶介デロイトトーマツコンサルティング執行役員
 ―マスクや防護服など医療物資の輸出抑制の動きが目立つ。
 米国の保護主義的な措置を含め、自国優先の動きは、世界貿易機関(WTO)ルールの範囲で許されている。ただ、(何が人命保護や安全保障の対象かという)線引きは不透明になりつつある。こうした動きを取り締まるルールづくりが必要だ。
 ―日本は輸入依存から抜けようと、生産の国内回帰を目指す。
 これまでは、サプライチェーンの稼働率を可能な限り高め、ぎりぎりで回してきた。しかし、今回のような有事では、安全保障で重要になった医療物資や半導体など基幹部品が入手しにくい状況になる。政府は、官民ファンドの活用などで、ある程度の生産能力を持つ会社を支援し、国内に供給できるよう取り組むべきだ。
 ―コロナ後の世界のけん引役は。
 米中対立が過熱する中、欧州連合(EU)も一枚岩ではなく、特定の国がリードする状況にはない。WTOなどの国際機関も無力化している。中国は、主導する経済圏「一帯一路」への「マスク外交」を通じて影響力を拡大させ続けるかにも見えたが、大きな効果にはつながらなかった。危機下で自国経済を持ちこたえられる国が今後の世界をリードするのではないか。

インタビューに答える中部大学特任教授の細川昌彦氏=26日、東京都中央区

インタビューに答える中部大学特任教授の細川昌彦氏=26日、東京都中央区

 ◇医療分野に安全保障の視点=細川昌彦中部大学特任教授
 ―コロナ危機で、サプライチェーンの中国依存をリスクと見る向きもある。
 中国はこれまで日本をはじめ各国に対して外交安全保障の目的を達成するために経済的手段を使ってきた。医薬品の原料の多くは中国に依存しているため、いざというときへの備えが必要だ。
 命に関わるような重要医薬品とそうでないものを仕分けするべきだ。国内生産すべきものを見定め、それを国内で作ったときには薬価を上乗せするなど安全保障の視点も必要だ。
 ―物資の安定供給への備えは。
 国内生産、備蓄、供給の多角化の三つのオプションを組み合わせることが重要だ。物資ごとに対策も異なる。例えば、医薬品はかさばらないため備蓄になじむが、人工呼吸器は常時メンテナンスが必要なため備蓄には向かない。同じ価値観を共有する日米欧で連携することも大切だ。
 これまで企業は経済効率ばかりを突き詰めてきたが、コロナ騒動は、リスク分散と持続可能性の追求も重要だということを気づかせてくれた。
 ―米中の覇権争いが激しさを増している。
 日本も関わる問題だ。日米欧と中国は、経済に関する価値観が異なる。中国は共産党統治のためにデジタルデータを国家が管理している。日本は米国や欧州、オーストラリア、インドを巻き込み、(国家管理ではない)デジタルルールづくりを主導していくべきだ。

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