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Thursday, June 4, 2020

シンガポール、食料の安定供給でリード 自助で世界の模範に - SankeiBiz

 シンガポールが、国土の制約や気候変動の脅威を克服しつつ、増え続ける人口に食料を安定供給する取り組みで世界をリードし始めた。食料需要は2050年までに現在の1.5倍になるとみられており、食料の安定供給は全世界が直面する課題だ。小さな国土の豊かな都市国家が、自国の脆弱(ぜいじゃく)性に気づき、自助を徹底して追究してきた成果が現れた。

 都市型生産も試行

 地球上で最も人口密度が高い国の一つ、シンガポールは、国民約570万人の食料のほぼ全てを他国からの輸入に依存している。16年時点で、約720平方キロメートルの国土のうち農地の面積は、氷に閉ざされたグリーンランドをわずかに上回る0.9%だ。

 それにもかかわらず、英誌エコノミストが113カ国を対象に調べた世界食料安全保障指数でシンガポールは2年連続の第1位。国内で消費する食料をほとんど生産していないものの、食料の入手のしやすさ、量、質で同国をしのぐ国はないことを示す結果だ。

 シンガポールの南洋工科大学のウィリアム・チェン教授は「新型コロナウイルスによる危機は、世界が人口増加、気候変動、水不足といった課題に直面する中で、現行の食料供給網の欠陥を検証する良い機会になった」という。

 シンガポール政府の食の安全を強化するための長期的な戦略は(1)供給元の多様化(2)国内企業の海外進出の促進(3)国内生産量の増加-の3つのカテゴリーに分かれる。このうち国内生産量の増加は、供給網の断絶が広がった場合の緩衝材として最重要であるものの、最も難しい課題だ。政府の目標では、国内生産量を増大し、現在10%に満たない栄養素の観点での必要量を30年までに30%まで引き上げる。

 チェン氏は「シンガポールでは目標に向け、栽培環境を人工的に制御し空間を垂直的に利用する『垂直農法』や廃棄食品からの栄養素の再利用、昆虫、微細藻類、培養肉、代替タンパク源などの技術開発が進められている。食料の都市型生産システムは、本格的な稼働開始後に近隣諸国に輸出することも可能だ。協働を通して互いの信頼を醸成することが危機に際して供給網を維持する一助となる」と話す。

 技術で農業活性化

 食品庁によると、既に立体駐車場の屋上など、都市での食料生産が始まっているほか、南部の沿岸では養殖施設の拡大が進められている。政府はまた、持続可能な都市型農業や代替タンパク質などの未来の食品に関する研究に対し資金援助を行っている。

 同庁は、国内農業の活性化の鍵は国民による国内生産へのサポートを促進することだとしており、既に国内の農家は新型コロナ危機以降、インターネットを介した上での注文件数が増加している。これによる増収で農家がさらに技術を取り入れ生産性が向上することに同庁の期待は高まる。

 豪州モナシュ大学の国際ビジネス・経済講師、ジョバンニ・ディ・リエト氏は「政府の国内食品生産増強への取り組みは、シンガポールがイノベーションと食料技術で世界をリードする上で好条件となる。同国は国土が狭くても、より効率的な農法を開発するための知識やノウハウ、手段をこの先も蓄積していくだろう」と指摘する。(ブルームバーグ Alexander Kwiatkowski、David Stringer)

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