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Monday, November 23, 2020

どうすれば国内で必要な食料を国内で供給できるようになる? - 日本経済新聞

中家会長の提示した「どうすれば国内で必要な食料を国内で供給できるようになる?」という課題に対し、多数の投稿をいただきました。日経COMEMO( https://comemo.nikkei.com/n/nf4c6e0296ec5)でも各業界のキーオピニオンリーダーたちが今回の課題について議論しています。

紙面掲載分を含めて、当コーナーでその一部を紹介します。

■国産品にポイント付与

池田 晃(大阪大学人間科学部1年、19歳) 農産物の国内供給を増やすため、「地消ポイント」の導入を提案する。供給を増やすにはまず需要を増やさなければならない。そのため、まず国産の農産物を買おうと思わせるようなメリットを用意する。この「地消ポイント」は、国産品を買うことでたまっていくポイントで、ポイントがたまるとランクが上がり、ランクに応じマイナポイントが還元される仕組みだ。ポイント活用の効果で、需要が高まると、ビジネスチャンスとなり供給も増えていくだろう。国産農産物と聞くと値段が割高で手が出しにくいイメージがあるが、供給が増えると生産コストが下がり、販売価格を下げる余地がでてくる可能性がある。さらに需要が高まり、供給も増える…という好循環が生まれる。また、今まで生産地を意識しなかった人も、これを機に意識することになる。こうして関心を高めることで農家の高齢化、後継者の不足といった問題の解決の一助にもなればと思う。

■地方へ若者連れ戻す

大北 凱(海陽学園海陽中等教育学校2年、14歳) 日本の農業における一番の問題は人手不足だ。都市部に流出していく若者を、地方へ連れ戻すことが重要だと考える。新型コロナウイルスの感染拡大を機に世界中でテレワークが普及した。そんな時代だからこそ、さらにテレワークを充実させ、副業として農業をする人を増やせばよいのではないだろうか。しかし、地方は都市に比べ交通網が不便で、娯楽施設も少ないため、若者に地方へ移ってもらうことは容易ではない。そこでテレワークで働く従業員を増やし、家賃の安い地方に住んでもらうシステムが欠かせない。また国が、副業として農業に取り組み1次産業を支えている人に支援金を支給するといった金銭的な支援も必要だろう。若者が地方へ来た後、ベテラン農家さんに栽培方法などを教わる「バディ制度」も有効だと考える。

■高校の授業に農業を

福崎 泰生(日本大学経済学部3年、21歳) 農業との接点を増やして、職業の選択肢に農業を加えることが必要だ。現在の農業は高齢化や担い手不足に直面している。このまま生産者である農家が減少し農業が衰退していけば、国内での供給力はますます弱まる。そこで提案するのが、高校教育と農業の連携である。正直、私の周りには将来農家になりたいという人はおらず、農業が職業の選択肢になっていない。それはこれまでに農業に触れる機会がなかったことが大きな原因だ。農業に触れるため、高校で農業体験や食育を実施すれば、普段自分たちが当たり前のように食べている「食」に興味を持ち、同時に日本の食の現状や農業の魅力により多くの人が気づくだろう。高校という自分の将来と向き合う時期に農業と触れる機会をつくることで、「職」として農業を考える人が増える。それにより、担い手不足解消、国内生産の強化につながっていくと思う。

【以上が紙面掲載のアイデア】

■保険の力で農家に安心を

田内 健太郎(会社員、23歳) 「農業はばくちだ」。農家だった祖父の言葉だ。苦労しても、大雨や風、気候という運の要素で収入は変わる農業はまさに「ばくち」だ。保険による保証をより取り入れたら、より安心して農業に従事できるだろう。台風や大雨被害を補償する農業保険の品ぞろえを増やすことで、農家の収入は安定し、安心して農業ができ、増産のインセンティブも働く。現在、国が行っている農業保険は数パーセントの農家にしか利用されていない。より多くの保険会社が農業保険を扱えるようになれば競争が生まれ、より農家に寄り添った商品ができて、多くの農家の収入の安定と安心が保証されるだろう。農家が、雨にも負けず、風にも負けず、寒さの夏にもおろおろしない、そのための保険をどの農家も活用する。そんな日本なら、農業をしたい、より生産したいと皆が思い、食料供給が十分に行えるだろう。

■マイクロツーリズムで地元食材を再認識

上山本 誠弥(京都橘大学現代ビジネス学部3年、21歳) コロナ禍で三密を回避し、地元を観光するマイクロツーリズムが多くの自治体で推進されている。そこで、マイクロツーリズムを通じ、地域住民が地元食材や農家の方々に対して理解を深めてもらう事業を提案したい。例えば、地元食材を使用するレストランやカフェを利用したり、農家で田植えや収穫などを体験したりする機会を増やすことで、地元産の食材、農家の魅力を再認識するよう促す。特に、地域住民が地元を観光することは、観光体験を通して得た知識や経験を日常生活に結びつけ、地元食材を日常生活の中で消費していくことや農家との交流が継続して行われることなどが考えることができる。この様な地域貢献の立場から、食材や農家に焦点を当てた観光を体験することで地域住民と農家との距離を縮めることは、国消国産につながるのではないか。

■耕作放棄地を農地に

田野 裕菜(岡山県立倉敷商業高校商業科3年、17歳) 離農で放棄される農地を再編成する。つまり耕作放棄地を農地に戻すこと。それが国内で必要な食料を国内で供給するために必要だと考える。また、後継者不足と高齢化に対応するため、若者の農業従事者を増やすだけでなく、高齢者も農業を続けられる仕組みが必要だ。従って効率性や生産性を高める技術面と、収益の安定・向上を図る商業面を両立しなければならない。具体的に技術面では、スマート農業やデータの活用を行っていくことだ。商業面では高付加価値なブランド化を行うことやグリーンツーリズムといった6次産業化を展開していくことだ。もうかる仕組みが出来れば、簡単に土地を放棄するわけにもいかない。これらを行うことで生産性が引き上げられ、農業という職に幅広い年代の人が定着することとなる。農地と人材を確保できれば「国消国産」は可能になる。

■ARで届ける生産者の想い

中村 友音(京都橘大学現代ビジネス学部3年、21歳) 国内で必要な食料を国内で供給するためには、生産者と消費者の距離を縮める必要があると考える。そのために、まずは消費者の農業に対する意識を変える必要がある。売り場では生産者の名前や顔が掲載されている食材を見かける。心を込めて作ったという「安心・安全」や親近感を抱き、温かい気持ちになる。より生産者と消費者の距離を縮めるために、農業と拡張現実(AR)技術を組み合わせたコンテンツを提案する。食材にQRコードをつけてスマートフォンで読み取り、地面へ焦点を合わせるとその食材の生産者がARで画面越しに現れる。生産者の農作業の様子や想い、農作物へのこだわりを見ることができる。視聴後、消費者は農業が身近な問題であることを認識でき、アンケートを記入できるようにするとお互いの考えを気軽に伝え合うことができる。生産者の顔が見える、と共に消費者の顔が見えることも信頼関係を築く上で重要ではないだろうか。

■スキマ時間で野菜を作る生活

吾郷 留衣(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部3年、21歳) 「仕事のスキマ時間で、自分が食べる野菜を作る」。そんなライフスタイルが広まれば、「国消国産」スタイルに移行できるのではないか。コロナ禍を経験し、職場に行かずとも仕事ができることを知った。オンラインツールの恩恵を受け、職場に合わせて変える必要があった住む「場所」にも、通勤にかけていた「時間」にも、今や制約を受けずに仕事ができる。そこで、私が提案したいニューライフスタイルが、「自然豊かな場所を生活拠点とし、仕事はリモート、空き時間で農業」というものだ。実体験として、コロナ自粛期間中に畑を借り、以前から興味があった野菜作りを始めた。実際に自分で野菜を育てると、自分の作物へ愛着がわくのはもちろんのこと、スーパーで売っているものでも、なるべく国産・無農薬・有機の野菜を選ぶようになった。なぜ国産がいいのか。それを理解するには、誰かの話を100回聞くより、自分で1回経験すべきだと身をもって感じた。

■ふるさとオーナー制度

平林 思問(会社員、40歳) 自分が応援する地域を選び、オーナーになれる制度があったらどうだろうか。ふるさと納税は主に返礼品が目当ての制度だが、もう少し長期的に地域を応援できる目線を持った制度が必要だ。仕組みはこうだ。自分が希望する地域に出資をする。集まった資金を活用して地域は地元で人を雇い、地域で活用されていない農地を使い農産物を生産する。オーナーはその生産物をそれぞれが出資した割合に応じて定期的に送ってもらうことができるというものだ。個人で食料を作ることはできないが、自分がその地域のオーナーの一人であるという気持ちが備わることで、その地域に愛着がわき、生産者の顔が見える安心した生産物を口にすることができる。またそれぞれの地域では新しい雇用が生まれ、生産者の後継問題も減ることになる。なにより消費者が生産者と一体となることが、この国の食料供給体制を守ることにつながるだろう。

■食のプライベートコンシェルジュ

谷 真孝(経営者、45歳) 食に関する多様性が高まる中、フードロス削減と一人ひとりに最適な供給をオンタイムで提供しなければ「国消国産」の実現は困難だろう。同構想では、多様化した食のニーズと生産状況をビッグデータとして人工知能(AI)で分析し活用する。事前に需給状況が把握可能となり、品不足の解消やフードロス削減が可能になる。各地域でセントラルキッチンを設け、食材の事前処理をすれば、規格外品も有効活用できる。消費者は、自身の好みや世帯構成を元にAIが栄養バランスや量を考慮した献立と事前処理した食材の提供を得られる。料金はサブスクリプション(継続課金型)にし、生産者は安定収入を得られる。生産供給地域は近隣地域とし、鮮度と物流の効率化を図る。近隣で供給できない農産物は、各セントラルキッチン間で融通し合う体制を確立する。これが多様性社会に適した食のプライベートコンシェルジュ構想だ。

■Go toからReceiveへ

城向 翔(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部1年、19歳) ウーバーイーツやウォルトといった宅配サービスを料理だけでなく、各地の国産の食材も気軽に注文できるシステムにするよう提案する。これは、地域に国産の食材を保管しておく倉庫のような店舗を複数設置するイメージだ。そして、客のスマホなどから注文を確認したら、近くにいる配達員が「倉庫」に寄り、商品を受け取って配達するというサービスである。食材はすべて国産で、あらかじめ千切りしたものやみじん切りしたものなど、客の用途に合わせて注文できるようにし、料理もその食材を使って自社で製造・販売をする。このサービスが一般的に普及すれば、直接スーパーに行くこともなく、注文から配達までの時間もかからないため、気軽にその日に欲しいものを買い、その日にその食材を使うことができる。また、置いてある食材がすべて国産であれば、自然と利用者の手に国産の食材が渡るはずだ。

■空き家バンク

上矢 栞大(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部1年、19歳) 国内で必要な食料を国内で供給できるようになるためには、農業人口と農地を増やすことが一番の解決策だと考える。私のアイデアは、空き家バンクを活用して新規就農を促すというものだ。人口減少と少子高齢化の影響で年々、空き家が増加している。総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は2018年に約14%、約848万9千戸もある。年々大きくなる空き家問題の解決と食料の「国産国消」を可能にするためには、地方自治体が空き家を仲介する空き家バンクが有効である。自治体が希望者に農地付きの空き家を貸し出すことによって、農業人口の増加だけでなく地方創生も期待できる。自治体からの支援金や地元農家からの指導があれば、初心者でも農業を始めやすい環境になる。デジタル化が進むなか、インターネット上で募集を呼びかけることで新規就農者を増やすことができるだろう。

■ハイブリッドワーク

斉藤 琴音(産業能率大学経営学部3年、21歳) 国内生産が減少している原因の一つに、農業に対する国民のイメージがあるのではないか。そこで私は、スーツを着て働くような仕事と農業を区別して考えるのではなく、合体させて考えてはどうかと思った。その理由は、近年、健康志向の人が増え、食や運動を意識する人が増えたことに加え、グローバル化や新型コロナウイルス流行の影響もあり、多様な働き方が一般的になってきたからだ。「ハイブリッドワーク」とは、早朝や夕方など、ジムやランニングに行くような時間に農業をして、日中は、育てた農産物を使って商品開発したり、作った商品を営業しに行ったりと、自分たちの手で食物を育てて、その食物の可能性を最大限に引き出し、消費者に届くように手引きするところまでを一貫して担うことを指す。私は、このようなビジネスモデルを提案することで、農業に飛び込むハードルが低くなり、国内生産率が少しは上がるのではないかと考えた。

■よりマーケティングの発想を

塩谷 佳菜(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部4年、25歳) 今、日本の農業に必要なのはマーケティングの力ではないだろうか。多くの農家は家族経営で、長年培ってきたノウハウを生かして地道に生産・販売を続けている。彼らはおいしいものを作るという生産面では多くの経験を積んでいるが、販売に関してはただ箱に詰めて卸すということがほとんどだと思う。実際に私の親戚はぶどう農家を営んでおり、私たち家族が中元などで利用したとき、一度、「こんなにおいしいなら外装に気を使ったらいいのに」と言われたことがある。それを親戚に伝えると「考えもしなかった」という。おみやげで持っていった東京の高級洋菓子を参考に外装を刷新したところ、多くの反響があったそうだ。このように、どんなにおいしい商品を作っても売るための知識がないとチャンスを逃している可能性がある。全ての農家がマーケティングの基礎を学べるような仕組みを作ることが必要だ。

■都市近郊農業促し地産地消

近藤 利則(経営者、56歳) 都市近郊の圃場整備を促進してはどうか。自身も第一種兼業農家であり、規模的には水稲10haなど各種季節野菜を栽培していることから、後継者のいない農家からの耕作委託の依頼が多数ある。江戸時代からほとんど変わらない都市近郊の圃場では、水利等の問題や大型機械の圃場への進入困難な状況で断念せざるを得ないのが現状である。圃場整備が進めば、農業後継者も増える可能性もある。また生産した農産物を地元の給食等に供給するシステムを構築できれば、生産者も安定収入が見込まれ生産意欲が高まる。地産地消も実現可能である。今問題とされる米の生産過剰分も消費される野菜等にシフトできる可能性も生まれるはずである。近年の異常気象による水害等も農場の保水力で軽減される可能性もある。そして何よりも都市近郊の景観を良好に保てる。一石二鳥どころか四鳥にも五鳥にもなる可能性がある。

■トレーサビリティーとブランドの強化

松本 伸二(経営者、55歳) ワインなどの嗜好品を除けば、多くの日本人は安いから輸入食品を買うのであって、本当はおいしくて安心な国産食品を買いたいと思っているのではないだろうか。輸入品の「安さ」と国産品の「安心」を無意識に比較して選んでいるなら、それは国産品の「安心」がぼんやりとしか実感できないからだろう。例えば、「国産豚肉」ではなく、スマホをかざせば「〇〇養豚場△日出荷」と分かるようなトレーサビリティー(生産履歴の追跡)があればもっと安心を実感できるはずだ。こうした施策は輸入品では導入が難しく、国産品が圧倒的に優位に展開できると思われる。それに関連してJAさんにお願いしたいのは、ブランドを統一するのではなくより詳しく表示することだ。例えば、「大島みかん」→「山口みかん」にするのではなく、逆に「大島〇〇みかん」「大島△△みかん」と詳細にする。トレーサビリティーの強化とブランドがつながるように。

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