オーストラリア産の羊毛価格が９月につけた安値から３０％以上、上昇している。新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ衣料品需要に急速な回復が予想され、中国の加工業者による購入が大幅に増加しているためだ。ただ、豪州産の大麦、ワイン、綿花、牛肉の輸出は、豪中間の政治的緊張が続く中、中国による関税や輸入禁止などによる痛手を受けている。
農産物の市場調査を行うメカルドのマネジングディレクター、ロバート・ハーマン氏は「今年に入り中国繊維市場では、需要縮小に伴い繊維工場の閉鎖が加速度的に増加した。だが、１０月中旬の数週間で状況は一転。期待が高まっていたロックダウン（都市封鎖）解除後の消費拡大に向け、中国の製造業が動きだした。中国の川下産業が羊毛加工業者への発注を増やしているとの報告もある」という。
豪州産羊毛の研究・開発・マーケティングを行う非営利法人、オーストラリアン・ウール・イノベーション（ＡＷＩ）によると、豪州羊毛取引所の東部市場価格指標（ＥＭＩ）は、全世界で実施されたロックダウンによる需要縮小のあおりを受け、今年１月の第３週から９月第１週までで４７％下落し、１キログラム当たり８．５８豪ドルをつけた。ＥＭＩはその後１０月第３週までで約３０％回復し、１キログラム当たり１１．１７豪ドルに上昇した。
ＥＭＩは１０月第３週に９．３％と大幅に上昇。ＡＷＩによると、「先渡取引の増加を背景に羊毛の全種類が急騰し、関係者の多くが驚愕（きょうがく）した」という。
豪農業資源経済局は９月、「豪州の未加工の羊毛のうち中国に輸出されるのは例年では約８０％だが、新型コロナで市場が混乱に陥った４～６月期には９６％に増加した。欧州市場が新型コロナの打撃を受けたことが特に大きく影響した」と報告している。
ラボバンクのアソシエートアナリスト、デニス・ボズネセンスキー氏のリポートによると「欧州連合（ＥＵ）諸国ではこの先も厳しいロックダウンが予測される。この影響で衣料品の売り上げは低迷するとみられており、羊毛価格の上昇に歯止めをかけそうだ。欧州の衣料品小売り部門では売り上げの低迷で在庫が膨らみ、発注を減らすか繰り延べるケースが増えており、中国の需要増加による価格上昇に下押し圧力となる」という。
これに対し、メカルドのハーマン氏は「欧州のロックダウンは短期的なマイナス要因であり、規制が緩和されれば、鬱積した消費需要により、市場は力強く回復する」とみている。（ブルームバーグ Ａｉｎｓｌｉｅ Ｃｈａｎｄｌｅｒ）
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November 11, 2020 at 02:31PM
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中国が豪の羊毛を大量購入 衣料品ニーズ急回復予想で全種類急騰 - SankeiBiz
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