【出世ナビ】ヒットの原点 岡本 マーケティング担当 青柳一輝氏(下)
消臭効果が高く、男性向け靴下売り場で不動のポジションを獲得している「SUPER SOX(スーパーソックス)」。製造・販売する岡本は1年間に3億足以上の靴下を販売するトップメーカーだ(国内外のグループ合計)。消臭タイプ以外にも幅広く「足の悩み」に応え、レッグウエアの専業メーカーとして、人々を足元から支えてきた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、家庭内で膨らむ新たな靴下ニーズにも解決策を用意し始めている。 【写真でみる】「脱けないココピタ」
■におい抑える靴下で家庭不和防ぐ
かつて資生堂は「加齢臭」の原因を突き止め、関連商品をヒットさせたが、「疲労臭」は聞き慣れない言葉だ。岡本がケアを提案する「疲労臭」とは、ストレスや疲労が原因で体が発するアンモニアが主成分のにおい。皮膚から発生する「皮膚ガス」の一種だという。「コロナ禍でストレスが増えて、疲労臭がきつくなる傾向があるという専門家の指摘がある。リモートワーク中の自宅内でも、消臭効果の高い靴下を着用するメリットが大きくなってきた」と、マーケティング担当の青柳一輝氏は新たなニーズを見いだす。 消臭タイプの靴下は、本人が周りへの気遣いとして選ぶケースが多い。しかし、岡本の企画意図は「職場でのにおい隠し」にとどまらない。「実は家庭内でのコミュニケーションや思いやりという意味が大きい」(青柳氏)。靴下売り場で家族の靴下を買う際には、「靴下を洗う立場になりやすい妻が夫用として靴下を選ぶことが珍しくない。その際に自分が不快になりにくい消臭タイプを優先する傾向がある」。 夫本人が選ぶ場合でも、自分の靴下を洗ってくれる妻が不快な思いをせずに済むよう、消臭タイプを選ぶことを見込んでいる。「子供がいる家庭では、靴下のにおいがいさかいの原因にもなりかねない。逆に、においを抑えられる靴下なら、家庭不和を防ぐのにも役立つ」と、青柳氏は穏やかな家族コミュニケーションにもたらすメリットを語る。
■カジュアル化の波、靴下にも
実際、かつて開催していた、足のにおいが題材の「足クサ川柳」では、家族が夫や父親のにおいを嫌がった作品がいくつも寄せられている。「洗濯機 『まぜるな危険!』の 妻の文字」「お出迎え 昔はチューで 今はシュ」「息子言う 妖怪のしわざ? パパの足」――。家庭内スメル(におい)ハラスメント対策の大切さに気づかせるうえでも、「足クサ川柳」は一役買ったといえそうだ。 コロナ禍は家で過ごす時間を延ばした。リモートワークで在宅の働き手にとっては、足のにおい対策をこれまで以上に心がける必要も出てきた。「従来は靴で覆われていた足をむき出しで過ごすことは、家庭内ににおいを広めるリスクをはらむ」(青柳氏)。実際、4月に緊急事態宣言が発令されて、出勤頻度が下がって以降も「SUPER SOX」シリーズの販売数は堅調だという。 オフィスの装いが様変わりしつつある。正統派のスーツが「制服」のようだったビジネスシーンにも、カジュアル化の波が押し寄せてきた。紳士服になじむ「SUPER SOX」にとっては逆風かと思いきや、そうではないという。「服のありようが変わると、市場はかえって膨らむ。スーツでも同じ。実際、売れ行きは鈍っていない」と、青柳氏はオフィスルックの柔軟化をむしろポジティブにとらえる。実は服装のカジュアル化を追い風に、既に次のヒット商品が誕生している。
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