新型コロナウイルスのワクチンを載せた航空機の第1便が那覇空港に到着した。早ければ明日にも新型コロナ診療に関わる医療従事者への接種が始まる。
今週届くのは7箱で、来週さらに7箱届く予定だ。合わせて1万3650~1万6380人分の接種1回目の量となる。月内に、2回目の分が届く見通しだが、以降の供給は未定という。
県は、優先接種に該当する医療従事者約5万7千人の中でも、感染患者の入院を受け入れている重点医療機関から配分する考えだが、供給量は足りていない。
地域によっては、救急救命士ら消防関係者にも接種されるといい、現場の実情を勘案した柔軟なワクチン接種の動きは、歓迎したい。
医療従事者に続いて、4月12日から65歳以上の高齢者への接種が始まる。だが、12日に合わせて政府が沖縄に発送するのは、最大でも1170人分だ。全高齢者に必要な量が行き渡る時期は不透明で、小分けに届くワクチンをどう優先順位をつけて、市町村に配分していくのか、県は対応に苦慮している。
医療体制が脆弱(ぜいじゃく)で、高齢者数が限られる離島から優先的に接種するかなど、感染状況も見極めた上で、複数案の検討を進めている。
医師の数が限られる離島での接種には、県立病院や医師会などの協力が欠かせない。県と国、市町村が密接に連携し、官民一体となって、県民の大部分にワクチンを接種するという前例のないプロジェクトを成功させてほしい。
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政府は当初、高齢者への接種開始を3月下旬と想定していた。ところが、「早くても4月1日以降」など次々と後退している。
河野太郎行政改革担当相が4月中に供給できると語ったワクチンの量は当初の想定に比べて、あまりにも少ない。4月に一斉開始が見込まれていた高齢者への実施は、極めて限定的になる。高齢者の接種が遅れれば、その後の基礎疾患者や高齢者施設で働く人への接種もずれ込むだろう。
供給が見通せないままでは、実務を担う市町村が混乱するのは当然である。
政府には、一刻も早く、供給量や配分日程を公表してもらいたい。
ここにきて、気になる事例が出ている。ワクチンを接種した基礎疾患のない60代女性が、接種から3日後にくも膜下出血で亡くなった。偶発的な事例の可能性もあるが、因果関係について情報公開と国民への丁寧な説明が必要だ。
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県独自の緊急事態宣言は、先月で終了した。しかし、新規陽性者の確認は連日2桁が続き、油断すれば一気に感染拡大につながる恐れがある。
玉城デニー知事は新年度を控え、県民へ引き続き感染対策を呼び掛けている。歓送迎会の自粛や会食は2時間以内・4人以下など県が示した行動方針を改めて確認したい。
県民全体へのワクチン接種が終わるのは、年を越しそうだ。気を緩めず、マスク着用や手洗いなどの「新しい生活様式」を引き続き、徹底してほしい。
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